食品安全情報blog過去記事

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アルコール規制枠組み条約

A Framework Convention on Alcohol Control
The Lancet 2007; 370:1102
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS014067360761486X/fulltext
The Lancet のエディトリアル
麻薬や向精神薬や煙草、スポーツにおける薬物使用などに関する国際規制条約が存在するが、アルコールには存在しない。アルコールは煙草(4.1%)同様約4%の世界中の人々の死亡や身体障害の原因で、不法薬物による疾患負荷の5倍も大きいのに規制に関する法的合意形成は検討されていない。
多くの文化でアルコールは長い間他の薬物と比較して健康によいとか社会的に受容できると考えられてきた。この態度は適量飲酒が健康に良いかもしれないと推定されているためかもしれない。あるいは飲酒の週間は比較的社会経済的地位の高い人々の間で一般的で、社会的身分の低い人たちには喫煙がより一般的であったためかもしれない。公衆衛生の提唱者が煙草産業に比べて酒造業者に甘かったこともある。
こうした手ぬるい態度とアルコールをその他の商品と同様に扱った自由貿易と競争原則により、酒税を上げたり販売時間を規制したりするアルコール対策を無効化してきた。
政府がアルコール対策により深刻に取り組むために、煙草規制枠組み条約のような国際条約が必要である。既に機運は熟しつつある。煙草規制枠組み条約も提唱から実現まで10年かかった。アルコール規制枠組み条約も同程度かかるであろう。