食品安全情報blog過去記事

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ホルムアルデヒド検査の結果、衣料品に健康上の問題はない

ニュージーランド消費者局
Formaldehyde tests show no health issue in clothes
17 October 2007
http://www.consumeraffairs.govt.nz/mediacentre/mediareleases/2007/20071017-formaldehyde/
本日発表された検査結果は、ニュージーランドで販売されている衣類や繊維製品のホルムアルデヒドレベルにほとんど懸念はないことを示した。
テレビ番組Targetにより引き起こされた懸念に対応して、消費者局は99の衣類や家庭用リンネル製品を検査した。99検体中97検体からはホルムアルデヒドは検出されず、2検体からは100ppmの許容できる濃度以上が検出された。ただし単純に洗うだけで許容値以下になる。
国際的には20 ppmホルムアルデヒドが検出されないレベルとして受容されている。消費者局は正確な検査方法を用いて測定し、その結果は信頼できる。テレビ番組Targetは間違った検査方法を用いており、それが検査結果が大きく違う理由である。
消費者局は衣料品の国際的最優良検査方法に従って、遊離のホルムアルデヒドのみを測定した。Targetは遊離型と結合型の両方のホルムアルデヒドを測定して遊離のホルムアルデヒドに関する国際基準と比較した。これはリンゴにだけあてはまる基準をみかんとリンゴの検査結果に当てはめるようなものである。
政府はニュージーランドの消費者をより確実に保護するため、衣料のホルムアルデヒドの許容値を設定する製品安全政策声明を発行する予定である。我々は適切な濃度について検討中であるが、多分海外の規制に基づいた今回使用した指標濃度と同じ程度になるだろう。意見募集の締め切りは11月26日である。


検査報告書
衣料に許容できない量のホルムアルデヒドが検出されるという疑惑の評価
Evaluation of Alleged Unacceptable Formaldehyde Levels in Clothing
17 October 2007
http://www.consumeraffairs.govt.nz/policylawresearch/product-safety-law/evaluation/evaluation.pdf
2007年8月19日に、Sunday Star Timesが、テレビ番組Targetの消費者問題調査により衣類から危険な量のホルムアルデヒドが検出されたと報道した。この記事の後、8月21日にTargetがニュージーランドで販売されている衣類に危険な量のホルムアルデヒドが含まれるという番組を放送した。この放送はニュージーランドや世界各国の関心を集め、ニュージーランドの製品安全基準や監視が適切でないことを示唆した。
この件についてニュージーランド消費者局は調査を行い適切な措置を執ると発表した。同時に予防的措置として衣類を洗ったり風を通したりすることでホルムアルデヒドが削減できるという助言を発表した。オーストラリアでもACCCが同様の調査を開始した。

検体として小売店で販売されていた100の衣料品や繊維製品を選んだ。Targetが検査した9製品のうち7製品も含まれる。またしわになりにくい加工や縮まないウールなどホルムアルデヒドを多く含むおとが予想される衣類も8製品含まれる。84%は中国製で7%がニュージーランド製、9%がその他の国製である。
文献上、ホルムアルデヒド感受性の高い僅かの人(1-4%)が1-2%以上(10,000-20,000ppm)のホルムアルデヒドに反応し、感作されるとより低い濃度で反応する。世界各国の基準や文献などから、検査結果評価のための指標として
2才以下の乳幼児用衣類:30 mg/kg(ppm)以下
感受性の高い人向けの衣類や繊維製品:30 mg/kg以下
皮膚と直接接触する製品:100 mg/kg以下又は「最初に使う前に洗うように」という指示がある場合には洗った後の量が100 mg/kg以下
皮膚と直接接触しない衣類:300 mg/kg以下
を採用した。
結果は一覧表に記載されている。
乳児用製品・子ども用製品は全て20 ppm以下(検出されず)
成人用のパンツで100ppm以上の製品が2検体あったがいずれも洗った後は54、 57ppmと低下した。
また小売業者や販売業者が独自に検査を行って報告している。政府の調査とは別に、全部で203アイテムの検査結果が集まったが、上述の許容値を超えたものは1検体のみであった。この製品は販売前のサンプルであり、販売用ではなかった。しかし予防的措置として在庫は回収され販売されていない。
一方ACCCがオーストラリアで行った同様の検査の結果、ホルムアルデヒドは全て検出限界以下であった。
これらの検査結果を評価して衣料品中ホルムアルデヒドについては安全上の懸念はほとんどない。


衣料品やその他繊維製品中のホルムアルデヒド許容値に関する製品安全政策の提案
Proposed Government Product Safety Policy Statement on Acceptable Limits of Formaldehyde in Clothing and Other Textiles http://www.consumeraffairs.govt.nz/policylawresearch/product-safety-law/proposed-statement/proposed-policy-statement.pdf
2才以下の乳幼児用衣類:30 mg/kg(ppm)以下
感受性の高い人向けの衣類や繊維製品:30 mg/kg以下
皮膚と直接接触する製品:100 mg/kg以下又は「最初に使う前に洗うように」という指示がある場合には洗った後の量が100 mg/kg以下
皮膚と直接接触しない衣類:300 mg/kg以下


他各国の基準の表がある
日本は乳児用衣類について検出限界以下(20 ppm)、皮膚と直接接触する衣類:75ppmと紹介されている
検査法はEN ISO 14184-1:1998 Textiles Determination of Formaldehyde Part 1: Free and Hydrolysed Formaldehyde (Water Extraction Method)