食品安全情報blog過去記事

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2007年10月10日の会合:セレン

栄養に関する科学助言委員会(英国)
Meeting to be held on 10 October 2007
http://www.sacn.gov.uk/meetings/committee/2007_10_10.html#
レニウム(セレン)に関する報告書が議題になっている。
セレンの健康影響に関する文献を調査し、まとめた。
セレンは必須微量元素で、多くの食品に主にセレノシステインやセレノメチオニンの形態で含まれる。無機のセレンはサプリメントや食品への添加用に使われる。生化学反応に必須の元素で、活性部位にセレノシステインを含むグルタチオンペルオキシダーゼの作用などに必須である。摂取源となる食品はブラジルナッツ、魚、内臓肉などで、英国の食事からの主な摂取源はパンやシリアル、魚、トリ肉や肉である。
サプリメントとしての上限は0.3mg/一日量である。必要量としてWHOは40microg/日を定めている。
世界では土壌に含まれるセレン量が異なるため摂取量には大きな差がある。英国やドイツ、フィンランドなどは摂取量が少ない国に分類される。北米は比較的多い。
フィンランドは土壌中セレンが少ないため1970年代に平均摂取量が25 microg/ 日と低かったため、干し草や家畜用飼い葉の肥料用ミネラルにセレンの添加を決定して以降、1987年には110-120 microg/日と増えた。この前後での発ガンに関する疫学では矛盾した結果が出ている。
ヒトのセレン欠乏症としてはKeshan病や Kashin-Beck病が知られている。これらの病気は土壌中セレン濃度が非常に低い中国の一部地域などにのみみられる。
またセレンは高濃度では有毒で、ビタミンとミネラルに関する専門委員会は2003年の報告でセレンの安全な摂取量上限を450 microg/日としている。米国科学アカデミーは2000年に400 microg/日としている。ヒトのセレン中毒は嘔吐や下痢、髪や爪の消失、皮膚や神経系の傷害などが症状である。
セレンと慢性疾患の関係については不十分な根拠しかない。英国では近年セレン摂取量が減少しており、この影響は不明であるが、摂取量に関する新しいデータが必要である。

他栄養と健康に関する強調表示について、1000以上の申請があるとしている。
(EFSAが健康強調表示の審査を行うことになっているが、作業量が膨大で期限通りに規制が実施できるかどうかが疑問視されている)