食品安全情報blog過去記事

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養殖が野生のサケを絶滅に向かわせる

Fish farms drive wild salmon populations toward extinction
13-Dec-2007
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2007-12/s-ffd120707.php
Scienceの12月14日号に発表される研究によれば、サケの養殖による寄生性フナムシ感染が近くの野生サケを絶滅に向かわせている。
アルバータ大学の海洋環境学者Martin Krkosekらは、カナダのブリティッシュコロンビア州Broughton Archipelagoに帰還するサケの80%以上がフナムシ(sea lice)により殺されると計算している。
フナムシは野生のサケによく見られる天然の寄生虫で、魚の皮膚にしがみつくように寄生し、幼生が浮遊して感染する。ネットで区切られただけの養殖場フナムシの天国で、大きなサケは少々のフナムシ感染では死なない。しかし川から海に向かう若いサケは小さくて弱く皮膚も薄く簡単に死んでしまう。
Broughton Archipelagoでは天然サケの稚魚は外洋に到達するまでに80kmにも渡る養殖網の列をくぐり抜けなければならない。Broughtonにはサケの養殖場が多すぎるのだ。
解決法としては養殖場を川から遠いところに移すことあるいはサケの養殖を閉鎖系で行うことの二つが考えられる。2007年5月16日に地方政府は持続可能な漁業委員会特別報告書において5年以内に閉鎖系に移行することを推奨している。
しかし生産業者は閉鎖系への移行はコストがかかりすぎると言っている。
(写真が痛々しい)


Natureニュース
フナムシがカナダのサケを脅かしている
Lice threaten Canada's salmon
13 December 2007
http://www.nature.com/news/2007/071213/full/news.2007.377.html