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FDAはクローン動物由来食品の安全性に関する文書を発表

プレスリリース
FDA Issues Documents on the Safety of Food from Animal Clones
January 15, 2008
http://www.fda.gov/bbs/topics/NEWS/2008/NEW01776.html
FDAはクローンウシ・ブタ・ヤギ及び全てのクローン動物の子孫由来の肉やミルクは他の通常交配動物由来食品同様食べても安全であると結論
何年にもわたる詳細な研究と解析の結果、FDAはクローンウシ・ブタ・ヤギ及び伝統的に食されてきた全ての動物のクローンの子孫由来の肉やミルクは他の通常交配動物由来食品同様食べても安全であると結論した。ヒツジなどの他の動物のクローンの安全性については結論を出すのに十分な情報が得られなかった。
FDAは本日クローン動物に関するFDAの規制の概略を示す3つの文書を発表した−リスク評価、リスク管理計画、及び企業向けガイドである。
これらの文書は案として2006年12月に発表された。その後新しい情報を含めてリスク評価は更新された。新しい情報は案の安全性に関する結論を補強するものである。
2001年に米国の生産者は、FDAがさらにこの問題を評価するまで、クローン動物及びその子孫由来肉やミルクを食品として使用しないことに同意した。USDAはスムーズで秩序のある市場への導入のために関係者を招集して今後の対応について議論を行う。
FDAはクローンウシ・ブタ・ヤギ及びその子孫由来の食品について、通常交配動物由来食品と違いがないため特に追加の規制や表示を要求していない。生産者が「この動物はクローンではない」などのような任意の表示をしたい場合どうするかなどについては、表示が信頼でき誤解を招いてはならないという法的要請に従うことが確保できる用ケースバイケースで判断されるであろう。
クローン動物は繁殖用に使用されるため、食用としてたくさん供給されることはないだろう。一方その繁殖による子孫は、市販される肉やミルクに使用されるであろう。現時点ではFDAはウシ・ブタ・ヤギ以外の動物のクローンは食用とすべきではないという立場である。
クローン動物は、一卵性双生児が違う時期に生まれたようなもので、ドナー動物の遺伝的コピーである。クローニングは遺伝子組換えと同じではない。コストと希少価値のため、クローン動物は家畜に望ましい性質を通常交配より早く導入するための精鋭交配用動物に使用される。

リスク評価
リスク評価の結果、クローンウシ・ブタ・ヤギ及びそれらクローン動物を繁殖させた子ども由来の肉やミルクは、他の通常交配動物由来食品同様食べても安全であるとした。この科学に基づく結論は2002年のNASの報告書に一致する。この評価はクローニングや動物の健康に関する独立した科学専門家からピアレビューされた。彼らはFDAの評価方法は適切でありこの文書の結論に同意した。
リスク評価では、家畜に広く用いられている生殖補助技術の概要、クローン動物とその繁殖により生まれた動物の健康に関する情報、クローン動物及びその子孫由来食品が通常交配動物由来食品とは異なる食品安全上の問題があるかどうか、を提示した。これらの結論は約1年前に案として発表された。その後、パブリックコメント募集期間に寄せられた意見と新しいデータを用いて更新した。
FDAのCFSANの主任であるStephen F. Sundlof獣医師博士は次のように語っている。「クローニングに関する案の発表後に追加されたデータや一般からの意見をレビューし、クローンウシ・ブタ・ヤギ由来の肉やミルクは我々が毎日食べている食品同様安全であると結論した。我々の追加のレビューは食品安全上の結論をさらに強化した。」

リスク管理計画
リスク管理計画ではクローン技術の関与する動物へのリスクに対応するための規則を概説した。こうしたリスクは全て、現在米国で普通に使用されている生殖補助技術で観察されているものである。
FDAはクローン過程に関与する動物のケアの基準を作成するため、動物の健康と生殖に関する専門家と協力している。FDAは家畜のクローニングに関する倫理的問題には対応しないが、この問題については関係者に科学的見解を提供することを続けていく。

企業向けガイド
企業向けガイドはクローン及びその子孫由来食品や飼料の使用に対応する。これはクローン作成者、家畜繁殖者、クローン動物を購入した農家及び牧場経営者に向けたものであり、FDAの現在の考え方を示したものである。
このガイドラインにおいてFDAはクローンウシ・ブタ・ヤギ由来の製品をヒト食用や動物飼料用に使うことについて特別な規制を薦めていない。ヒツジなどの他の動物のクローンについては情報が足りないため、食べることのリスクについて決定したりガイドラインを作成したりできず、食用には使用しないことを薦めている。このガイドラインでは伝統的に食されてきた種のクローンの子孫由来食品は、食品や飼料として使用できると述べている。


クローン動物:最終リスク評価
Animal Cloning: A Risk Assessment FINAL
January 15, 2008
http://www.fda.gov/cvm/CloneRiskAssessment_Final.htm


クローン動物 リスク管理計画
Animal Cloning
Risk Management Plan for Clones and Their Progeny
January 15, 2008
http://www.fda.gov/cvm/CloningRA_RiskMngt.htm


クローン動物とその子孫をヒト食用及び動物飼料用に使う企業向けガイド
Guideline No. 179
Guidance for Industry Use of Animal Clones and Clone Progeny for Human Food and Animal Feed
http://www.fda.gov/cvm/Guidance/Finalguideline179.htm
このガイドラインに関する意見を募集する。


クローニングとその畜産応用に関する初歩的説明
A Primer on Cloning and Its Use in Livestock Operations
http://www.fda.gov/cvm/CloningRA_Primer_Final.htm


消費者向けFAQ
Animal Cloning: FAQs About Cloning for Consumers
http://www.fda.gov/cvm/CloningRA_FAQConsumers_Final.htm


家畜管理者向けFAQ
Animal Cloning: FAQs About Cloning for Livestock Managers
http://www.fda.gov/cvm/CloningRA_FAQProducers_Final.htm


クローニングに関する神話
Myths about Cloning
http://www.fda.gov/cvm/CloningRA_Myths_Final.htm
世間で流布されている間違った言説を否定するFAQ