食品安全情報blog過去記事

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ヒトリスク評価におけるブプロフェジンの遺伝毒性及び発がん性についてのPPRパネルの意見

Opinion on Genotoxic and Carcinogenic Potential of Buprofezin in the Context of the Human Risk Assessment - Scientific Opinion of the Panel on Plant Protection Products and their Residues (PPR)
24/01/2008
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1178680773087.htm
ブプロフェジンはチアジアジン構造を持つ殺虫剤で、2005年に申請されたが評価案においてフィンランドからデータギャップの指摘があった。染色体異常誘発性に関するデータが十分でないため、in vitro及びin vivoの染色体異常試験が必要であるとされた。
新たな遺伝毒性試験結果が農薬リスク評価ピアレビュー専門家会合で検討されたが結論が出なかった。そこでPPRパネルが諮問された。
PPRパネルはブプロフェジンの長期発がん性試験について再評価した。
マウスとラットで二つの試験が行われている。ラットの発がん性試験プロトコールEUガイドラインと違うことはこの物質の評価の妨げとはならない。マウスでもラットでも、ブプロフェジンにより腫瘍発生に影響はない。
PPRパネルはブプロフェジンの遺伝毒性試験について再評価した。
ブプロフェジンには、細菌やほ乳類細胞を用いた遺伝子変異や染色体異常、 DNA傷害や修復など各種遺伝毒性エンドポイントで遺伝毒性はない。新たに提出された培養チャイニーズハムスター肺細胞におけるin vitro染色体異常試験では、ブプロフェジンによる染色体異常の増加は認められていない。
最近の骨髄でのin vivo小核試験の結果は標準的でない実験方法を用いているため、ブプロフェジンの遺伝毒性評価には使えない。従ってPPRパネルはブプロフェジンには遺伝毒性があるという根拠はないと結論する。ブプロフェジンの毒性データは参照値を設定するのに十分である。