食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

飼料添加物として使用が認められているサリノマイシンの非標的飼料への交差汚染に関するCONTAMパネルの意見

Cross-contamination of non-target feedingstuffs by salinomycin authorised for use as a feed additive - Scientific Opinion of the Panel on Contaminants in the Food Chain
25/01/2008
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1178681094589.htm
サリノマイシンはニワトリやシチメンチョウ用飼料に最大濃度70 mg/kgで使用が認められているコクシジウム抑制剤である。飼料業者規制により要求されている事項が守られていても実際には一部の飼料に交差汚染がおこり、非標的動物用の飼料に混入することがある。
サリノマイシンの毒性はイオノフォアとしての作用機序に相関する。サリノマイシンの感受性には種差があり、最大認可濃度と非標的動物での毒性発現濃度
の間に安全性のマージンが少ないことが知られている。従ってサリノマイシンを最大量含む飼料を間違って食べると非標的動物では健康リスクがあると結論した。
10%の飼料交差汚染があると0.35 mg/kg b.w./日の摂取量になる。この濃度はFEEDAPパネルが評価した最も感受性の高い動物であるイヌの1年間試験のNOAEL  0.5 mg/kg b.w. /日より低い。しかし経口による急性毒性についてはウマが感受性が高く、0.12-0.25 mg/kg b.w.(交差汚染レベルで3-6%)で致死量となる。従ってウマについては有害健康影響は起こる可能性があり、他の非標的動物での有害健康影響はないであろう。
サリノマイシンは吸収・代謝が早く、数日で体内から消失することが各種動物でわかっている。ミルクへのキャリーオーバーについてのデータはない。消費者への暴露量はADIより少ないと推定されている。従って消費者の健康に与えるリスクは無視できる。