食品安全情報blog過去記事

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プロバイオティクスが重症膵炎患者の死亡率を増加させる

Probiotics increase mortality in patients with severe pancreatitis
13-Feb-2008
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2008-02/l-pim021308.php
The Lancetのオンライン版に発表された論文によれば、プロバイオティクスは重症急性膵炎患者の死亡率を増加させ、感染による合併症を予防しない。
急性膵炎において感染による合併症が主な死因となっており、これは腸内細菌の過剰な増殖が関与すると考えられている。先の研究で、プロバイオティクスに使われる細菌系統によりこの腸内細菌の過剰増殖を抑えて感染による合併症を予防できる可能性が示唆されていた。
オランダユトレヒト大学のHein Gooszen教授らは重症急性膵炎患者296人を、 152人をプロバイオティクス群に、144人をプラセボ群に割り当てた無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験を行った。各群の患者は重症度などで同様であった。投与群は発症後72時間以内に多種類プロバイオティクス製剤を経腸で1日2回28日間投与された。投与期間中及び投与後90日間、感染性合併症について観察した。
感染性の合併症は投与群46人(30%)、プラセボ群人(28%)と両群で同様であった。しかし死亡した患者は投与群の方が多く、投与群24人(16%)、プラセボ群9人(6%)であった。プロバイオティクス群の9人は腸管虚血を発症し8人が死亡したが、プラセボ群で腸管虚血は一例もなかった。