食品安全情報blog過去記事

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ヨウ素強化義務

Mandatory iodine fortification
18 March 2008
http://www.nzfsa.govt.nz/publications/media-releases/2008/2008-03-17-iodine-press-release.htm
ニュージーランドの拡大するヨウ素欠乏問題と闘うため、今後18ヶ月以内にほとんどのパンがヨウ素強化される。
ここ数年、人々のヨウ素摂取量が低下している。理由としてはニュージーランドの土壌はもともとヨウ素が少ないこと、岩塩や海塩の使用が拡大してヨウ素添加した塩の使用が減っていること、塩一般の摂取量が減っていること、そして家庭や企業でのヨウ素を含む殺菌剤(注:ヨードチンキやイソジンなど)が使用されなくなってきていることなどがある。最新のトータルダイエットスタディではニュージーランド人のヨウ素摂取量が他の国に比べて遙かに少ないことを明らかにした。
あまりにも少ないヨウ素摂取量は胎児の頃から子ども時代までの子どもの知能の発達を不可逆的に阻害する。成人の摂取量不足も問題で、重い場合は甲状腺腫を誘発する。
FSANZはパン製造業者に、ヨウ素を添加している塩でパンを作ることを義務づけることを決定した。オーガニック製品やパン種を使用しないピタやトルティーヤなどは例外となる。
国際的には食品中のヨウ素濃度を増加させる方法として、単純で低コストの塩にヨウ素を添加することが推奨されている。
ヨウ素はヒトの必須栄養素で、ヨウ素欠乏には多くの問題がある。ヨウ素の必要量は僅かであるが、身体の代謝状態を維持し子どもの正常な発育を支持するための甲状腺ホルモンには必須である。
ヨウ素は正常な脳の発達に必須であるため、特に胎児や子どもにとっては適切な摂取が重要である。ヨウ素欠乏が重症な場合は子どもの発育不全や精神遅滞をもたらす。また中程度から強いヨウ素欠乏では聴覚や運動及び認知機能への有害影響が数多く報告されている。もう一つのヨウ素欠乏による重大な状態は甲状腺腫で、甲状腺の肥大により後に甲状腺疾患リスクが増加する。
ニュージーランドでは、世界の他の国に比べて地元で摂れた野菜や果物や穀物ヨウ素含量が極めて少ないため、バランスの取れた食生活をしていても十分なヨウ素を摂るのは難しい。ヨウ素をたくさん摂るには天然にヨウ素含量の多いシーフード(魚介類や海藻)やミルク、乳製品、seameal custard(商品名)、卵などを食べる必要がある。
もう一つのヨウ素源はヨウ素添加食卓塩である。保健省は心疾患と脳梗塞リスク削減のため塩分摂取量を減らすよう推奨しているが、調理や食卓で使う塩にはヨウ素を添加すべきだとしている。
パン製造業者は2009年9月までに新しい規制に従うことが求められる。

(あまり言われないが地産地消には風土病リスクが高くなるという欠点がある)