食品安全情報blog過去記事

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MMRワクチン接種率を上げるために

BMJ 2008;336:729-730 (5 April), doi:10.1136/bmj.39503.508484.80
Improving uptake of MMR vaccine
http://www.bmj.com/cgi/content/full/336/7647/729
MMRワクチンと自閉症の関連を示唆する論文が発表されて10年、我々はそのような関係はないと否定できる根拠があるが、一部の人々は未だに拒否し続けている。Pearceらは英国ミレニアムコホート(2000年9月から2002年1月までに生まれた子ども)を3年間フォローアップし、ワクチン接種に影響する因子について検討した。
MMRワクチンの接種率の低さは些細なことではない。ワクチンを接種していない子どもたちが増えることははしかの流行リスクが増加することを意味する。はしかと確認された患者は1998年には56例だったが2007年には971例になっている。英国では2才の時点でのMMRワクチンの接種率は他のワクチンより低い(94%に比べて85%)。そのような差は他の国では見られない。
Pearceらの報告では単一抗原ワクチンを使う保護者は白人・教育レベルが高い・裕福・母親が高齢・子どもが一人しかいない場合に多い。しかしMMRワクチンを受けていない保護者の特徴はそれほど単一ではない。
最近の英国の研究ではワクチン否定派の人々を、一部のワクチンの必要性は認める「改革派」と全てのワクチンを否定する「過激派」の二つのグループに分類している。単一抗原ワクチンを使用する保護者は「改革派」で個別のオープンな対話によりワクチンの受容が期待できる。一方「過激派」に対しては最良のコミュニケーション戦略でも彼らの意見を変えるのは困難であろう。
どうすればワクチン接種率を上げられるか?英国の母親の14%はMMRワクチンが、ワクチンで予防できる病気よりリスクが高いと考えている。ワクチン摂取率の低い異なる集団に向けた個別の戦略が必要であろう。


英国同年齢コホートにおけるMMRワクチンと単一抗原ワクチンの利用に関連する因子:前向きコホート研究
Anna Pearce et al.
BMJ 2008;336:754-757 (5 April), doi:10.1136/bmj.39489.590671.25
Factors associated with uptake of measles, mumps, and rubella vaccine (MMR) and use of single antigen vaccines in a contemporary UK cohort: prospective cohort study
http://www.bmj.com/cgi/content/abstract/336/7647/754
オープンアクセス
どちらもコメントがついている
(日本はどうなんだろう?そもそもMMRが標準じゃないし・・)