食品安全情報blog過去記事

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乳がん:トランス脂肪酸の役割?

Breast cancer: a role for trans fatty acids?
11 April 2008
http://www.iarc.fr/ENG/Press_Releases/pr184a.html
INSERM とInstitut Gustave Roussyの二つのグループがMutuelle g n rale de l'Education nationale(フランス教育公務員医療保険E3N)会員であるフランス人女性コホートで行った研究で、血中トランス脂肪酸濃度の高い女性の乳がんリスクが2倍であることを示した。アジア諸国では魚由来のオメガ3脂肪酸
乳がんリスクを下げることが明確に示されていたが、この研究ではオメガ3脂肪酸に予防効果は見られなかった。
American Journal of Epidemiologyに発表される。
E3Nコホートはヨーロッパ10ヶ国50万人以上の参加するEPIC研究のフランス部分である。
トランス脂肪酸と心血管系疾患のリスクについては1990年代初頭から知られていたが乳がんリスクへの影響は不明であった。研究者らは、1995年から1998年にE3N研究でフォローされた10万人の女性のうち25000人の血液サンプルを用いて解析した。血液を採取してから乳がんであると診断された女性363人の血液中
脂肪酸レベルを乳がんでない対照群と比較した。
トランス及びシス脂肪酸の解析の結果、乳がんリスクは加工食品を多く食べることを反映するトランス脂肪酸の濃度に相関して増加した。血清中トランス脂肪酸濃度の高い女性は最も低い女性に比べて約2倍乳がんになるリスクが高かった。
また血中オメガ3脂肪酸の濃度と乳がんリスクには関連が見られなかった。
V. Chaj s et al.
Serum trans-monounsaturated fatty acids are associated with an increased risk of breast cancer in the E3N-EPIC Study.
Am. J. Epidemiol. 2008 (DOI: 10.1093/aje/kwn069)

EPIC研究
European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition
がんと栄養に関するヨーロッパ前向き研究
http://www.iarc.fr/epic/