食品安全情報blog過去記事

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EFSAは食品中リコペンの安全性を評価

EFSA assesses safety of lycopene in foods
14/04/2008
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1178700117656.htm
EFSAは食品添加物としての使用及び野菜や果物に天然に含まれるリコペンの両方を考慮して、全ての食品からのリコペンの安全性を評価するよう諮問された。EFSAのAFCパネルはリコペンのADIを0.5 mg/kgと設定している。しかしながら就学前児童や生徒など一部のリコペン含有食品を多く食べる集団においてはADIを超過している可能性がある。リコペン摂取源として最大のものはソフトドリンクである。この意見は新規食品成分としてのリコペンについて検討中のNDAパネルの評価にも生かされるであろう。
先のリコペンの評価は意図的に添加されたものだけを考慮し、天然に食品に含まれるリコペンについては対象外とした。AFCパネルは消費者が安全に摂取できるリコペンの量としてADI 0.5 mg/kg体重/日を設定した。しかしAFCパネルは一部の高摂取群ではこの値を超える可能性があると指摘した。
AFCパネルは食用色素としてリコペンを使用することは全体のリコペン摂取量を相当量引き上げると結論した。全ての集団においてリコペンの摂取源として最大のものは非アルコール性飲料で、成人男性の66%、就学前児童の90%のリコペン摂取量に寄与する。
コペンはカロテノイドの一種でトマトやトマト製品、スイカやピンクグレープフルーツ、パパイヤなどの野菜や果物などに含まれる。またリコペンは食用色素(E160d)として使用が認可されており、ソフトドリンクやお菓子やソース、ジャム、ゼリーなどに添加されている。
さらに新規食品規制によりEFSAのNDAパネルは現在リコペンの食品中への新しい使用方法についての評価を行っている。NDAパネルは2008年春に新規食品としてのトマト由来リコペンオレオレジンと合成リコペンに関する意見を採択予定である。


食用色素としてのリコペンの使用−AFCパネルの意見
Use of Lycopene as a food colour [1] - Scientific Opinion of the Panel on Food additives, Flavourings, Processing Aids and Materials in Contact with Food
14/04/2008
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1178700117557.htm
AFCパネルは食用色素としての合成リコペンの使用申請に関する科学的意見を諮問された。またBlakeslea trispora(糸状菌)由来リコペンの使用申請についても諮問された。さらに、食用色素再評価計画の一環としてのトマト由来リコペンの再評価の見地から、AFCパネルは全ての摂取源からのリコペンの総合的安全性評価を行うことを決定した。従ってこの意見は様々な起源のリコペンの食用色素としての使用の安全性を評価したものである。
動物及びヒトでの介入試験では、合成リコペンもトマト抽出物も生物学的に利用できることを示している。Blakeslea trispora由来リコペンについても食用に使用された場合はトマト由来リコペン同様利用されると考えられる。
合成リコペンの毒性については、ラットの亜慢性及び慢性試験、ラットの発がん性試験、二世代試験、ラットとウサギの発生毒性試験が行われている。変異原性についてもよく調べられている。それらの結果から安全上の懸念は示されていない。合成製品化リコペンのNOAELは、ガイドラインに従った毒性試験で以下のようになっている。
・ 14週ラット試験 500 mg/kg bw/day(最高用量)
・ ラットの発生毒性 500 mg/kg bw/day(最高用量)
・ ラットの二世代試験 500 mg/kg bw/day(最高用量)
・ ウサギの発生毒性 400 mg/kg bw/day(最高用量)
・ 1年間ラット試験 50 mg/kg bw/day
・ 2年間ラット発がん性試験 50 mg/kg bw/day(最高用量)
Blakeslea trispora由来リコペン抽出物の90日間経口投与毒性試験のNOAELは600 mg/kg bw/dayになっている。
AFCパネルは1年間のラット毒性試験におけるアラニントランスアミナーゼの不可逆的上昇のNOAEL 50 mg/kg bw/dayに安全係数100を用いてADI 0.5 mg/kgbw/dayを導出した。このADIは全ての摂取源由来リコペンにあてはまる。
JECFAが設定したADIはトマト由来のリコペンを含まないことを注記しておく。
しかしAFCパネルはこの意見で設定したADIはトマト由来のものの含むべきだと考える。
食用色素としてのBlakeslea trispora由来リコペンの暴露量は平均で2-6 mgで、高用量群で11-23 mgである。天然由来及び食用色素由来の合計で高暴露群では1日最大43 mgのリコペンをたまに摂る可能性が排除できない。
新規食品としてのリコペンの使用については考慮していない。
使用量は許容濃度の40-90%を想定しており、過剰な推定になっておる可能性はある。
食用色素としてのリコペンの使用は、リコペン摂取量全体を相当量押し上げると結論した。
AFCパネルはソフトドリンクが全ての集団において総摂取量の群を抜く摂取源であり、成人男性で66%、就学前児童で90%以上になることを注記する。