食品安全情報blog過去記事

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ビスフェノールAは実際どれくらい危険なのか?

Science NOWより
Just How Dangerous is Bisphenol-A?
By Jocelyn Kaiser
16 April 2008
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2008/416/3?etoc
米国政府機関のビスフェノールAの健康リスクに関する報告書案はこの物質に関する新しい議論をひき起こしている。昨日発表された報告書は昨年の外部専門家委員会の結論とほとんど同じだったが、胎児や子どもたちに対するある種のリスクについて懸念を表明していた。環境保護主義者たちはこの報告を賞賛しているがこの知見が規制に繋がるかどうかは不明である。
ビスフェノールAは食品缶やポリカーボネートボトルなどに含まれ、ほとんどのアメリカ人の血中からも検出される。高濃度ではビスフェノールAは実験動物にホルモン様の作用を示し出生児の低体重や仔の性的成熟の遅れなどの影響を示す。過去10年以上にわたる議論の中心は、ヒトの暴露されている、より低い濃度での動物における影響についてだった。NTPの外部専門家委員会は昨年の夏、これらの研究の多くは疑問があるとした。しかしながら脳や行動などへの胎児の神経発達影響については「幾分かの懸念some consern」があるとした。環境保護主義者たちや一部の法律家はこの報告書を、事務作業を委託された会社が企業の資金提供を受けていたことを理由にバイアスのかかったものだと批判した。
今回NTPの科学者は神経行動影響だけではなく乳腺や前立腺や女性の思春期への影響についても「幾分かの懸念some consern」があるとした。これは先の外部専門家委員会の報告で「最小限の懸念minimal consern」とされたことより懸念レベルが上がっている。NTPのCERHRのディレクターであるMichael Shelbyは、新生動物の前立腺への影響に関する新しい論文がNTPにほんのちょっとだけ信頼を付け加えた"give a little more credence"せいだと説明している。NTPは同時にBPAが乳腺発達に影響しないという論文に欠点をみつけ、ある種のマウスの研究では春期発動が早まるという研究結果が一貫していると結論した。
ShelbyはNTPが外部専門家委員会の見解から離れることは普通ではないが前例はあると述べている。しかしShelbyが注意したように、どちらの委員会もビスフェノールAについては「幾分かの懸念some consern」しかないとしており、これはより高い懸念レベルに比べると規制の引き金となる可能性は低い。
環境団体EWGのSonya LunderはNTPが先の委員会で採択しなかった多くの研究を含めることにした決定を賞賛している。彼女はこのことで先に議会で「BPAのリスクを決定するのに低用量影響研究は考慮しない」と語ったFDAが見直すかもしれないと考えている。
現在NTPの案はパブリックコメントを募集している。一方カナダではヘルスカナダの科学者がより重大な懸念を発表すると予想されており、それは最初の国レベルでのBPA規制又は禁止に繋がる可能性がある。