食品安全情報blog過去記事

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米のヒ素

Arsenic in rice
Wednesday 30 April 2008
http://www.food.gov.uk/news/newsarchive/2008/apr/arsenic
FSAは赤ちゃん用の米やライスミルクヒ素濃度に関する報道を受けて消費者に再確認する。
ある研究でライスミルクヒ素濃度を測定し、ライスミルクを飲むとヒ素の摂取量が増えることを示した。別の研究では赤ちゃん用の米製品を測定して一部の製品のヒ素濃度は安全ではないと主張している。FSAはこの主張には同意しない。そして現状の濃度は問題とはならないと言っている。

ヒ素はどこから来るか?
ヒ素は天然に多くの食品に低濃度含まれる。その毒性は化学型による。有機型では毒性は低く無機では発がん性が知られている。FSAの独立助言員会COTは無機ヒ素暴露量は合理的に達成可能な限り低く(ALARP)すべきであると結論している。ヒ素は多くの食品に含まれるがほとんどの食事中ヒ素は毒性の低い有機化合物である。

FSAの研究と検査
米はヒ素を蓄積しやすい穀物である。総ヒ素量は低いものの、約505が無機物として存在する。FSAは米や米製品のヒ素濃度や調理による影響について研究を行っている。現在の知見では平均的英国人の米を食べることによるヒ素暴露は問題とはならない。
FSAはベビーフードや乳児用ミルクのヒ素やその他の金属類の濃度調査を多数行っている。これらの調査の結果乳児用食品からの僅かなヒ素摂取量は増加しておらず、合理的に達成可能な限り低いことを示している。検出された量は赤ちゃんの健康に問題とはならない。ライスミルクについては、我々の助言はヒ素暴露量が増えるのが心配であるなら飲む量を減らすか別のミルクを探せばよい。しかしながら我々はさらなる調査を行って結果を発表するであろう。
この研究では飲料水基準と比較しているがそれは適切ではない。飲料水基準は水について合理的に達成可能な限り低い量を基準に設定されており、食品からの摂取量とは比較できない。


ライスミルクベジタリアンや乳糖不耐の人などが乳代用品として使っている
ライスミルクの方の論文はこれ(オープンアクセス)
著者はEnvironmental Pollutionの論文と同じ
Inorganic arsenic levels in rice milk exceed EU and US drinking water standards
J. Environ. Monit., 2008, 10, 428 431
http://www.rsc.org/delivery/_ArticleLinking/DisplayArticleForFree.cfm?doi=b800981c&JournalCode=EM


Science NOWでも伝えている
赤ちゃん用おかゆに悪い知らせ?
Bad News in Baby Rice?
30 April 2008
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2008/430/1?etoc
米のヒ素についての報告に、環境化学者や汚染研究者は厳しい規制を要求、その他毒性学などの専門家は米のヒ素が本当に有害かどうかは不明であり、飲料水基準を当てはめるのは間違っていると主張している。
環境化学者はカリフォルニアやスペインなどのヒ素の少ない土壌で育てられた米を使え、と主張している。
(日本人は米どころか海産物からもたくさんヒ素を摂っていて現に長生きなのだから大丈夫なのでは?予防的措置というのは現実より重いのか・・?)