食品安全情報blog過去記事

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食べ物、有害な食べ物

Food, injurious food
Wendy Moore
BMJ 2008;336:1022 (3 May), doi:10.1136/bmj.39563.517292.94 http://www.bmj.com/cgi/content/full/336/7651/1022-a
我々の毎日の食べ物に入っている食用色素や保存料についての大騒ぎはテレビディナーを咽に詰まらせ、全てを信頼できた古き良き時代を切望させるのに十分である。ビクトリア朝時代の我が先祖は毎日の食事を安心して食べていたに違いない−少なくともArthur Hill Hassallが幻想を打ち砕くまでは。
好奇心の強いロンドンの医師であったHassall (1817-94)は新しく発明された顕微鏡を使って市民が何の疑いもなく飲んでいる水を調べたのだ。テムズ川に浮かんでいる動物の死骸や腐った野菜や汚物を見るように、Hassallは微生物をたくさん発見し公衆衛生改革を助けた。さらにHassallはコーヒーにも顕微鏡を使い、ライ麦や豆や焦げた砂糖を見つけ出した。この報告はメディアの関心をひいた。Lancetの編集者だったWakleyはHassallにロンドンで販売されている主要な食品や飲料の系統的調査をするよう薦めた。その後4年間 Wakleyは1-2週間毎に知見を報告した。Hassallは昼は医師として働き、夜は食料品店や酒屋をこっそり探索し調査した。砂糖36検体中35検体にダニがいてミルクの半分以上は薄められていてお茶の中には全く茶が入っていないものがあった。最もショッキングだったのは"kiss-me-now"といった魅力的な名前のお菓子に極めて有毒な色素に由来する高濃度の鉛が含まれていたことだ。Hassallは後にこう記している「全体的に、偽装が基本で純正品は例外だった」。
この調査の報告は名前を出された店の店主などからの誹謗中傷の嵐と、報道機関や一般大衆から広く激しい怒りをまきおこし、1860年の食品や飲料に関する最初の法律につながった。

テレビディナー:電子レンジで暖めるだけの冷凍プレートランチ、アメリカやイギリスでは良く売っているが日本ではあまり人気がないような。