食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

硫化水素の医療用使用の可能性は腐っていない

Scienceより
Science 30 May 2008  Vol. 320. no. 5880, pp. 1155 1157
News Focus
Nothing Rotten About Hydrogen Sulfide's Medical Promise
その毒性と悪臭にも関わらず、硫化水素代謝を低下させて冬眠様の状態を作り出すため、このガスを傷ついた兵士の救護や外科手術などに利用しようと考える科学者たちがいる。
先週低濃度の硫化水素を健康な人に注射したところ危険な副作用はなかったという発表があり、ある企業が今年後半に治療用としての試験を開始する計画を持っている。
硫化水素の毒性はよく知られていて、NIOSHの暴露規制値である10 ppmでも目に刺激がある。もし500 ppmを吸ったら30分以内に死ぬであろう。1000 ppmなら直ちに倒れて数分以内に死ぬ。だから人間が低濃度ではあるが自然に硫化水素を体内で作っていることが発見されたときには科学者は驚いた。この能力はかつて酸素の代わりに硫黄をエネルギー産生に用いていた名残であろうとRui Wang は述べている。有毒ガスに有用性もあることがわかったのは硫化水素だけではない。一酸化窒素や一酸化炭素が伝達物質としての役割を見つけられている。