食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

FDAは個人や企業に偽のがん「治療法」の販売を停止するよう警告

インターネットサイトに詐欺の主張
FDA Warns Individuals and Firms to Stop Selling Fake Cancer 'Cures'
June 17, 2008
http://www.fda.gov/bbs/topics/NEWS/2008/NEW01852.html
FDAはがんの予防や治療に有効であるという虚偽の主張をおこなって製品を販売していた米国の23の企業と2人の外国人に対して警告文書を送付した。またFDAは北米の消費者に対しインターネットでいろいろな名前で販売されている錠剤やお茶や炭酸水や軟膏やクリームなどを購入したり使用したりしないよう警告する。
警告をうけた会社や個人、およびそれらの販売していた虚偽の「がん治療法」リストは以下。
http://www.fda.gov/cder/news/fakecancercures.htm
インチキのがん治療法の宣伝は常に問題であったが、インターネットによりそれらが極めて盛んになっている。これらの警告文書は消費者の健康に有害である可能性のある虚偽の治療法に騙されないようにするための重要なステップである。
FDAは消費者に対しこれらの製品の使用中止については医師に相談して有害反応があれば適切な治療を受けるように強く促す。
これらの製品には赤根草やサメ軟骨、珊瑚カルシウム、セシウムエラグ酸、キャッツクロウ、エイジアック(Essiac)と呼ばれるハーブ茶、アガリクスやシイタケやマイタケや霊芝のようなキノコの品種などが含まれる。
これらの製品は病気の治療や予防や緩和などを主張し有効性や安全性は示されていないため、連邦食品医薬品化粧品法違反である未承認新規医薬品である。
これらの製品の虚偽の宣伝文句の例は以下のようなものである
・ すべてのがんに有効
・ がん細胞が自然に消滅します
・ 世界ナンバーワンのがん治療薬より80%以上有効性が高い
・ 皮膚がんが消える
・ 健康な細胞はそのままでがん細胞だけをターゲット
・ 悪性腫瘍が小さくなる
・ 痛い手術や放射線療法や化学療法などの治療を受けなくて済む
警告文書はFDAがFTCやカナダ当局と協力して実施中の、虚偽の製品が消費者の手に渡らないようにするための努力の一部である。この活動は消費者の苦情とFDAやFTC及びメキシコ米国カナダ健康詐欺ワーキンググループの行ったウェブサーチに基づく。今年初めにFTCは虚偽の「がん治療」を謳っていた112のウェブサイトに警告文書を送っている。
警告文書に記した違反に対応しない場合は押収や刑事訴追なども含む実行活動の対象になる。
消費者や医療関係者はこれらの製品による問題や苦情についてFDAに通知するように。

  • 偽のがん治療法

Fake Cancer Cures
http://www.fda.gov/cder/news/fakecancercures.htm

  • 警告文書

http://www.fda.gov/cder/news/fakecancercuresWL.htm

  • 消費者が避けるべき偽のがん治療法

125 Fake Cancer 'Cures' Consumers Should Avoid
http://www.fda.gov/bbs/topics/factsheets/fakecancercures.html
企業名と製品名がリストアップされている。
成分としてはオメガ3脂肪酸やサメ肝油、各種ハーブ、リコペン、ビタミンC、クルクミン、TNF、アカネ抽出物、アガリクス、珊瑚カルシウム、IP-6、ブドウ種子抽出物などがある。

  • 消費者向け情報

オンラインがん詐欺に注意
Beware of Online Cancer Fraud
June 17, 2008
http://www.fda.gov/consumer/updates/cancerfraud061708.html
健康詐欺は強欲の残酷な形態のひとつであるが、がんの治療に関する詐欺は、虚偽の情報がウェブを介して直ちに広がる場合には特に残酷である。
がんに罹っている人たちやその知人はそれがどんなに恐ろしくて絶望的であるか知っている。そのためにがんが治るという僅かなチャンスがあるように見えるものにはなんでも飛びつきたくなるのだ。
がん治療に用いられる医薬品や機器は販売される前にFDAに承認されなければならない。FDAはこれらの製品の安全性と有効性を確保するために評価を行う。
一方偽のがん治療法は誰でもどんな会社でも販売できる。そのような「治療法」は錠剤だったり炭酸水だったりクリームだったりといろいろな形態で販売される。しばしば自然な治療法とかダイエタリーサプリメントなどとして販売されている。これらの製品の多くは害がないように見えるが、患者が有効な治療を受けることを遅らせたり邪魔したりすることで間接的に有害である可能性がある。
偽のがん治療法宣伝は印刷機の発明以降常にあったが、インターネットはこの問題をさらに悪化させた。
証明されていない治療法、嘘の約束
偽のがん治療法の一つとしてblack salves(黒い軟膏)がある。これは実際有害性が証明されている。これをがん治療薬として販売するのは違法であるが、オンラインですぐに購入できる。
この製品は皮下の病気を消失させると宣伝されているが有効であるという科学的根拠はない。さらに悪いことにblack salvesは患者に有害作用がある。この腐食性のある油脂は皮膚の火傷を引き起こし、皮膚や皮下組織を破壊し大きな瘢痕を作った症例がある。
他の証明されていない「治療法」には何十年も販売されているハーブ処方Hoxsey Cancer Treatmentがある。FDAはこれについて1950年代初めから警告や執行を行い続けている。
これにがん治療効果があるという科学的根拠はない。しかし消費者はオンラインでこの治療法が有効だというあらゆる種類の虚偽の主張を見つけることができる。

警戒信号
虚偽のがん治療や予防法を販売している企業はしばしば誇張されたインチキの宣伝をしている。消費者は以下の文句は警戒信号(赤旗)であると認識すべきである。
・ 全てのタイプのがんを治す
・ 皮膚がんが消える
・ 悪性腫瘍が退縮する
・ 毒性がない
・ 副作用がない
・ 痛い手術や放射線療法や化学療法などを受けなくて済む
悪性黒色腫以外の皮膚がんを簡単に安全に治す
がんの治療法を探している消費者は以下のことに注意するように。
・ 新しい治療法を始めたり加えたりする前に医師に相談すること。製品によってはあなたの使っている医薬品と相互作用し効果を無くしたりする。
・ 虚偽の製品と治験薬との違いを理解すること。治験薬は臨床試験で安全性と有効性を調査中の薬物であり、一方詐欺製品は臨床試験をされたこともなくFDAが評価したこともない。
治験薬を使うには合法的な方法がある。最もよくある方法は治験に参加することであるが、治験以外でも使えることがある。

健康詐欺の徴候
全ての消費者は以下のような健康詐欺の徴候について周知しておくべきである。
・ その製品がいろいろな症状に迅速に有効であるとか診断できるとする主張
・ 重大な、または治療法がない病気を治療できるとする主張
・ 「科学的大発見」「奇跡の治療法」「秘密の成分」「古代の治療法」のような文言
・ 体重減少用製品の場合の「飢餓刺激ポイント」や「熱発生」などのような印象的な用語
・ 「ナチュラル」だから安全という主張
・ 驚くべき効果があったとする公開されていない個人や医師の体験談
・ 限定品や値引きなどの宣伝
・ リスクがない、とか返金しますとの約束
・ 過体重や脱毛や不能を「簡単に」解決するという主張