食品安全情報blog過去記事

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ビスフェノールAのトキシコキネティクス−AFCパネルの意見

Toxicokinetics of Bisphenol A - Scientific Opinion of the Panel on Food additives, Flavourings, Processing aids and Materials in Contact with Food (AFC)
23/07/2008
http://www.efsa.eu.int/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902017492.htm
AFCパネルは動物とヒトにおける年齢によるBPAのトキシコキネティクスとその食品中ハザードやリスク評価との関係について再検討するよう諮問された。
AFCパネルはヒト胎児の遊離のBPA暴露は、母親がBPAを結合できるため無視できるだろうと結論した。一方ラットの胎仔は母体の循環から遊離のBPAに暴露される。ヒト新生児における、グルクロン酸抱合/硫酸化されるBPAと構造的に類似する化合物のデータを考慮し、新生児にも1 mg/kg体重以下のBPAを抱合する十分な能力があると考えた(1 mg/kg体重はTDI 0.05 mg/kg体重の20倍である)。
従ってEFSAの2006年意見やEUリスクアセスメント報告書で検討されたBPAへの暴露量を、新生児はホルモン活性のない抱合体に変換する十分な能力があると結論した。
さらにそのような代謝の違いがあるため、成熟・新生・胎仔ラットにおける遊離のBPA暴露量はヒトより多く、従って同じ投与量ならラットの方がヒトよりBPAによる毒性に感受性が高いであろうことを追記しておく。
従ってAFCパネルはラットでの影響のNOAELに不確実係数100を用いた先のリスク評価はヒトにとって安全側にたったものだと考える。動物とヒトにおけるBPAのトキシコキネティクスの年齢による違いは2006年のEFSAによるBPAリスク評価に何の影響も与えない。

(グルクロン酸抱合/硫酸化はいずれも薬物代謝第二相反応。水溶性物質を結合させて水に溶けやすくして尿中に排出する。齧歯類では腸肝循環がおこるため半減期が20-80時間とヒトの6時間に比べて長い。結論としてBPAに特別な配慮は必要なしということ。)