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EFSAはクローン動物に関する最終の科学的意見を採択

EFSA adopts final scientific opinion on animal cloning
24/07/2008
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902019762.htm
EFSAはクローン動物の食品安全、動物の健康と福祉および環境への関連についての最終科学的意見を発表した。この意見は欧州委員会からの諮問によるものである。
EFSAの科学委員会の議長であるVittorio Silano教授は、以下のように述べている。
代理母とクローンについて、通常交配の動物より高頻度で重症の健康と福祉の問題があることは明確である。ウシやブタについて食品安全上の懸念はありそうにない。クローンやその子孫由来の食品と通常交配動物由来の食品に食品安全上の違いを示唆する明確な根拠はない。しかし我々は、一貫しており増加しつつあるものの根拠はまだ少ないことを注記しなければならない。これは課題の一つである。」
この意見の重要な結論の中には以下のようなものが含まれる
・ 入手できる情報が少ないためリスク評価に不確実性がある。この意見では適切なデータが入手できたブタとウシについてのみ対象にした。
・ クローン動物にかなりの割合で、主にウシの若齢期やブタの周産期で、健康と福祉上の問題がある。
・ 体細胞核移植(SCNT)により生まれたウシやブタは生理的・行動・臨床状態において通常の動物と同じ。
・ クローン動物やその子孫由来の肉やミルクに食品安全上の差があるという証拠はない。
・ データは限られるが環境影響は予想されない。
Silano教授は、以下のように付け加えた。
「EFSAは常に単純な回答や再保証ができるわけではない。複雑で進歩し続ける科学と技術はそのような簡単な解決を提供しない。我々の助言は科学に基づくもので、EUのクローン動物やその子孫由来製品の規則が必要かどうか検討する助けになるであろう。」
この意見に含まれる推奨事項としては以下のようなものがある。
・ クローン動物の健康と福祉をモニタリングすべき。
・ SCNTで作られたウシとブタ以外の動物についてもデータが入手でき次第リスク評価を行うべき。
・ クローン動物の死因や病理についてさらに調査すべき。
・ クローン動物の免疫力や感染症感受性についてさらに調査が必要。
・ 健康なクローン動物の通常飼育条件における行動研究を含めた動物の福祉に関する研究が必要。