食品安全情報blog過去記事

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炭疽科学者の自殺に疑問

Science NOW
Suicide of Anthrax Scientist Raises Questions
1 August 2008
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2008/801/1?etoc
米陸軍感染症研究所(USAMRIID)の炭疽研究者Bruce Ivinsが先週火曜日(7月29日)自殺した。報道によれば連邦検察はIvinsが2001年10月から11月にかけて5人を殺し17人を病気にした炭疽菌郵便攻撃を企んだ罪で告訴の準備を進めていた。
バイオディフェンス(生物{せいぶつ}テロ防衛)研究者らはこの米国史上最悪のバイオテロ犯罪が、炭疽対策を研究していた科学者によって行われたことでこの分野にバックラッシュがおこるのではないかと心配している。しかしIvinsが裁判にはかけられなくなったことでこの事件の真相が永遠にわからなくなったこともまた問題である。彼がやったのかどうかはもう決して確認することはできない。Ivinsの弁護士はIvinsが無実でありFBIのプレッシャーが彼を死に追いやったと発表している。
Los Angeles TimesによればIvinsは鎮痛剤を大量に飲んで自殺した。IvinsはUSAMRIIDで18年間働いており、主に炭疽を研究していた。彼の論文は炭疽ワクチンについてのもので、郵便テロで使われたのと同じAmes系統の炭疽を使っていた。
FBIは政治家や一般人から2001年のテロの犯人を捕まえるよう非常に強い圧力を受けていた。この夏は2002年に司法長官John Ashcroft が「興味を持っている人物」と呼んだために人生をめちゃくちゃにされたバイオディフェンス研究者Steven Hatfillに460万ドルを支払うことに政府が合意したばかりである。IvinsもHatfillと同じで、プレッシャーに耐えられなかっただけかもしれない。
Ivinsの死亡と炭疽レターへの関与の疑いはバイオディフェンス研究コミュニティーを困らせている。当初からこの事件はバイオテロが深刻な問題であることを証明したがっているバイオディフェンス熱狂者によるものであるという疑いがあった。もしそうなら、一般の人々はバイオディフェンスの研究は巨大な詐欺であるという印象を持つであろう。


FBIは炭疽毒殺容疑者の文書を発表
FBI Releases Documents on Suspected Anthrax Poisoner
6 August 2008
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2008/806/3?etoc
FBIはBruce Ivinsが2001年の炭疽テロ容疑者と考えられる根拠の一部を発表した。
分析の詳細などは含まれていない
Amerithrax Court Documents
http://www.usdoj.gov/amerithrax/


Scienceから
今週のニュース
バイオテロ:科学者は答えを探している、炭素事件での自殺後の未来について思案している
News of the Week
BIOTERRORISM:Scientists Seek Answers, Ponder Future After Anthrax Case Suicide
Science 8 August 2008: Vol. 321. no. 5890, pp. 754 - 755