食品安全情報blog過去記事

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不正の告発により、携帯電話の電磁場でDNAが傷つくという主張に疑問が投げかけられた

SCIENCE  August 29 2008
News of the Week
Vol. 321. no. 5893, pp. 1144 - 1145
Fraud Charges Cast Doubt on Claims of DNA Damage From Cell Phone Fields
Gretchen Vogel
携帯電話の電磁場で細胞のDNAが切れる可能性があることを示したピアレビューのある論文はたった二つしかないが、その2報がVienna医科大学(MUV)の不正疑惑の中心となっている。批判者によればデータはあまりにもきれいで事実とは思えないと主張しており、5月に大学の調査は両研究のデータは捏造でありこれらの論文は取り下げるべきであるとした。その研究に従事していた技術者は辞任しており、両研究の著者は当初大学と論文取り下げで合意していた。しかし著者の気が変わったことで事態は泥沼化している。彼は1報だけの論文取り下げは認めているが、批判者は携帯電話会社から研究費をもらっていたことがあるため、携帯電話に都合の悪い証拠を潰そうとしているのだと主張している。
問題となっている研究は携帯電話を規制せよと主張している人たちにより幅広く引用されている。この研究以外では携帯電話の影響は極めて微細なもので、この研究が疑わしいとなると携帯電話の電磁場がDNA傷害作用をもつという仮説が否定されてしまう。


MUVの、著者に論文取り下げを要求したというプレスリリース
23.05.08
http://www.meduniwien.ac.at/homepage/news-und-topstories/de/?tx_ttnews%5Bpointer%5D=3&tx_ttnews%5Btt_news%5D=216&tx_ttnews%5BbackPid%5D=679&cHash=4b09f8171f
ドイツ語


(この件についてはKumicitさんがより詳しく紹介しておられるので興味のある方は参照
http://transact.seesaa.net/article/105716581.html