食品安全情報blog過去記事

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リスクコミュニケーションの失敗

昨日いつもいきつけのスーパーマーケットに買い物に行ったところ、蒟蒻畑の定位置だった場所に蒟蒻畑は無く、その代わりにあったのが「フルーツゼリー」という商品でした。成分は増粘多糖類。一口サイズで警告や注意表示も無く、まさしく「欧米や韓国で禁止されている」商品です。それを見てタイトルのように思いました。
この会社の担当者はコンニャクが入っていなければいいと考えたのでしょう。でもリスクが大きいのは
「ミニカップで、吸い込むようにして食べて、口の中である程度の硬さを保持するもの」
です。コンニャクかどうかは本質的な問題ではなく、寒天でも同じです。各種増粘多糖類は使い方次第でいろいろな硬さのゲル状のものを作れます。ゼラチンで作った「ゼリー」は、冷やさないと固まりませんから、冷蔵品でしか存在できません。だから口の中で簡単に溶けると考えられて規制されていません。室温である程度の硬さを保持していないとミニカップゼリーという商品にはなりませんから、規制されているのは「ミニカップゼリー」です。

マンナンライフ蒟蒻畑は、その吸い込むようにして食べるというリスクを小さくするために大きく押し出すように改良し、さらにお年寄りや子どもは食べないようにという警告表示もしたリスク削減対策を執った商品でした。
それを問題の本質をよく理解していないと思われる拙速な対応により排除した結果が、よりリスクの高い商品の販売という事態に帰結したわけです。
この時点では消費者の選択肢が奪われ、比較的真面目な企業が苦境に立たされ、消費者のリスクが高くなるという最悪の結果になっています。

残念ながら今回の「コンニャクゼリー」騒動は、問題点がどこにあって、何を注意すべきなのかが適切に伝わっていないということがもたらす害の一例になってしまったようです。