食品安全情報blog過去記事

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中国におけるメラミン汚染

Melamine Contamination in China
Updated: November 28, 2008
http://www.fda.gov/oc/opacom/hottopics/melamine.html#update
FDAの継続調査の結果、国産の乳児用ミルクは安全で消費者は米国産乳児用ミルクを使用し続けることができることを示している。FDAは乳児用ミルクに存在するメラミン単独又はシアヌル酸単独は1ppm以下では公衆衛生上の懸念とはならないと結論した。FDAは10月初めに発表した中間リスク評価にこの情報を加えて更新した。
更新されたリスク評価
http://www.cfsan.fda.gov/~dms/melamra4.html
FDAは国内で製造された乳児用ミルクのメラミン及び関連化合物について検査してきた。これまでFDAの検査では乳児用ミルク1検体から極めて微量のメラミンと、もう一つの検体から極めて微量のシアヌル酸を検出した。検出された濃度は1ppmより十分低く、乳児に健康リスクはない。
検査結果は以下から
http://www.fda.gov/oc/opacom/hottopics/melamine/testresults.html
商品名と濃度が記載されている


メラミンが検出されたのはNestleのGood Start Supreme Infant Formula with Ironで0.137と0.140 ppm、シアヌル酸が検出されたのはMead JohnsonのInfant Formula Powder, Enfamil Lipil with Iron, in 12.9 oz canで0.247、 0.245、0.249ppm。


食品中のメラミンとその類似体の中間ヒト安全性及びリスク評価 更新
Update
Interim Safety and Risk Assessment of Melamine and its Analogues in Food for Humans
November 28, 2008
http://www.cfsan.fda.gov/~dms/melamra4.html
2008年10月3日にFDAは食品中のメラミンとその類似体の中間ヒト安全性及びリスク評価を発表した。この中間評価において、メラミンは重合体として食品と接触する食器やプラスチック樹脂、紙や板紙などの製造に使用されていることが示されていた。さらに食品加工の際使われる用具の殺菌剤としてトリクロロメラミンの使用が認められており、その際にメラミンが生じる。こうした認められた使用による食品中濃度は15 g/kg (0.015 ppm)未満であると推定される。これは承認された使用方法による食品中平均濃度であって、個々の食品の許容最大濃度ではない。さらに食品によってはその食品の種類や状況により0.015 ppmより多かったり少なかったりするであろう。
2008年10月の中間評価ではメラミンとその類似体が同時に含まれる場合の公衆衛生上の懸念について検討した。それは現時点での知識に基づいている。そのリスク評価ではメラミン単独を投与したラットの13週間試験から導かれたTDI 0.63 mg/kg体重/日を開始ポイントとして使用している。メラミンとその類似体(シアヌル酸やアンメリンやアンメリド)を同等の毒性があると推定された。
しかしながら安全性評価では、メラミンとシアヌル酸が同時に存在すると毒性が強くなることを示した研究を考慮した。乳児用ミルク以外の食品については複合的存在への不確実性に対応するため安全係数をさらに10倍にして、「乳児用ミルク以外の食品については2.5 ppm以下のメラミン及びその類似体は公衆衛生上の懸念とはならない」と結論した。乳児用ミルクについてはメラミン及びその類似体の安全性についてそのような計算はできないとした。乳児用ミルクに複数のメラミン関連化合物が入っていた場合の総暴露量や慢性的暴露、さらに腎機能が未熟な乳幼児であること等の不確実性があったからである。
先のリスク評価ではメラミン又はその類似体の一つが単独で混入した場合の公衆衛生上の懸念について検討したものではない。FDAはメラミンのみ、またはシアヌル酸のみを乳児用ミルクから検出したため、リスク評価を更新する。米国で製造された乳児用ミルクに極めて微量のメラミン又はシアヌル酸が検出された。検出された濃度はメラミンについては0.137 ppm、シアヌル酸については0.247 ppmからというもので、中国産の乳児用ミルクで検出されている量より最大1万倍も少ない。
2007年のTDI推定0.63 mg/kgはラットの13週間試験の結果に安全係数100を用いたものである。乳児はミルクのみに頼っていることや最大12ヶ月間続くこと、 腎機能が未熟である可能性があることなどから成人より感受性が高い可能性がありリスク評価の不確実性が高い。こうした条件を考慮してFDAは0.63 mg/kgのTDIにさらに追加で10倍の安全係数を採用し0.063 mg/kg/日にTDIを設定する。 さらに乳児の体重を3kgとし、乳児一人あたりの1日の摂取量として0.189 mgとなる。
FDAの最悪シナリオで、乳児が0.15kgの粉ミルクを毎日摂るとすると1.26 mg/kgのメラミンを含む粉ミルクを飲むことでほぼ0.063 mg/kg/日に等しくなる。さらに追加の安全マージンをとって1.26 mg/kgを約1.0 ppmとする。従ってメラミン又はその類似体一種類が1.0 ppm以下の乳児用ミルクには公衆衛生上の懸念はない。