食品安全情報blog過去記事

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EFSAは主要食用動物の飼料中ビタミンA最大量の改定を勧める

EFSA recommends revised maximum vitamin A levels in feed for main food producing animals
2 February 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902310080.htm
プレスリリース
EFSAのFEEDAPパネルは動物飼料へのビタミンA使用が消費者に与える影響について評価し主要食用動物の飼料中最大値を改定するよう勧める意見を採択した。

  • 動物への栄養目的でのビタミンA使用の消費者への影響

Consequences for the consumer of the use of vitamin A in animal nutrition
2 February 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902310217.htm
脂溶性ビタミンであるビタミンAはヒトでも動物でも必須で、視覚や多様な上皮組織の成長・分化、骨の発育、生殖、胚発生などに必要である。食品中には前駆体(レチノール及びそのエステル)として存在し、ヒトや多くの動物では食品中のカロテノイド、主にベータカロテンからも作ることができる。ビタミンAは蓄積性があり、特に肝臓に蓄積し、高濃度ではほとんどの種に毒性影響がある。飼料添加物としてのビタミンAは各種の動物の多様な飼料で最大含量を規定して使用が認可されている。
英国のSACNとフランスAFSSAが2005年に発表した2つの報告書で動物由来製品の摂取による消費者のビタミンAの摂りすぎに注意が喚起された。そこで欧州委員会がEFSAにこれらの報告のレビューを依頼した。
SCFにより設定された上限摂取量(UL)(前もって作られたビタミンAから1日あたり3000microgのレチノール当量(RE))は、入手できるデータからは現在も適切であるとFEEDAPパネルは考えた。レチノール摂取量と骨の健康リスクとの定量的相関から導かれる特定サブグループ(高齢者)におけるより低いULは設定できない。従って新たに再評価が必要であるというデータが示されるまで、骨粗鬆症と骨折リスクの高い人々(特に閉経後の女性)については1日最大摂取量1500 microg REをガイダンスレベル(GL)とすべきであろう。
FEEDAPパネルは3ヶ国での成人及び1ヶ国での子どもの、国によるビタミンA摂取量調査4つについて検討した。さらにEPICプロジェクトでの調査に基づき成人のビタミンA摂取量を別に計算した。
既にできているビタミンAのみが安全上の懸念がある。これは動物由来食品にしか存在しない。1970年から1990年までの間にはレバーのビタミンA含量の増加が見られたが(主にブタとウシ)90年代初期からは逆の傾向になっている。現在典型的な値はレバーで50 150 microg RE g-1最大500 microg、乳脂肪で4-14microg REg-1、卵黄で4-9 microg RE g-1である。その他の食品(肉や腎臓や魚の身)には有意な量の既成ビタミンAは含まれない。食品の加工中にビタミンAが減ることが知られているが、ビタミンA摂取量推定精細化のための定量化は困難であるため考慮しなかった。
ヨーロッパ人の総ビタミンA摂取量の約半分は植物由来食品のカロテノイドに由来し、残り半分が動物食品の既成ビタミンAである。ヨーロッパ成人の既成ビタミンA平均摂取量は男性で400-1200 microg RE/日、女性で350-1000 microgRE/日と推定される。一部集団ではULを超過している。超過しているのはデンマーク・ドイツ・オランダ・ノルウェースウェーデン・英国の1-2%、フランス・ギリシャ・イタリア・スペインの3-6%である。GLではそれぞれ2-3及び8-14%となる。
既成ビタミンAの主な摂取源はレバー(一部の国では60-80%)、ミルク、乳製品である。レバーから摂る既成ビタミンA摂取量評価は不確実ではあるが、レバーをよく食べるヒトにおいてはレバーからの既成ビタミンA摂取量は2800-7000microgにもなる可能性がある。ミルクや乳製品だけでULを超過することはありそうにない。
既成ビタミンAのUL(及びGL)を超過するリスクは主にレバーを食べることによる。またビタミンAを含むサプリメントも寄与するであろう。
既成ビタミンAは一部の動物由来食品に高濃度に含まれていることと個人の食生活パターンから安全上の懸念となりうる。従って動物の給餌には不必要な高濃度を避けるべきである。
以下動物毎に飼料中のビタミンAの最大含量となりうる値を示した(略)。
FEEDAPパネルは消費者保護のために主要食用動物用飼料の最大ビタミンA含量改定を薦める。さらに以下のことを薦める。
(i) 1日に与えるビタミンAの量を制限する
(ii) 最大含量改訂後に問題の食品のビタミンA濃度をモニタリングする
(iii) 消費者に対し既成ビタミンAを摂りすぎないよう助言する