食品安全情報blog過去記事

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証言:ニューヨークの炭酸飲料税

TESTIMONY: New York's Soda Tax
February 3, 2009
http://www.acsh.org/factsfears/newsID.1202/news_detail.asp
ニューヨーク州の上院財政委員会と健康と医療扶助(メディケイド)の2009-2010予算案検討委員会に提出されたACSHのRuth Kava博士の意見。
砂糖入り炭酸飲料やその他の飲料に18%の税金をかけるという案について。
米国では1970年代から肥満や過体重が劇的に増加している。2007年には45州での肥満の頻度は22%を超えている。さらに問題なのは子どもや青少年の肥満増加である。6-11才の子どもの肥満率は1976年から2006年の間に6.5%から17%に増加し、12-19才では5.0%から17.6%に増加した。ニューヨーク州も例外ではない。 CDCによれば1990年にはニューヨーカーの肥満は10%以下だったのに2007年には25-29%に増加した。2型糖尿病や冠動脈心疾患などの肥満に伴う多くの健康問題を考えると、このような傾向は将来の公衆衛生や医療制度にとって凶兆である。
消費者はサプリメントや各種ダイエット法、運動装置などの魔法の簡単な体重抑制方法の宣伝に常に曝されているが、専門家は肥満や過体重の予防や治療には長期にわたるライフスタイルの変化が必要であることで一致している。肥満は食べるエネルギーと消費するエネルギーのバランスの悪さによるものである。過去数十年間で食べる量は増え運動量は減った。だからたった一つの製品の摂取量を変えるだけで肥満解消に役立つとは思えない。それどころかここ数年我々はある種の脂肪や砂糖などのいろいろな種類の製品を、一部は肥満解消のために、食べないように薦める活動を見てきた。砂糖入り飲料に課税するというのもそのような努力の最新の例である。
しかしながらたった一つの製品の摂取を変えるだけでニューヨークの肥満を解決できそうにない。タバコの場合と違って、値段が高いだけでは飲食は止められないだろう。ある飲料の値段が高ければその飲料の摂取は減るだろうが、代わりのものが消費されないという保証はないし、健康的なライフスタイルになることも保証できない。
提案されている「悪い」飲料への課税は、食品が「良い」ものと「悪い」ものに簡単に二分できるという誤解をさらに広める。この場合は砂糖が「悪い」とみなされているわけだが、糖分やカロリーが同じくらいのオレンジジュースも「悪い」のだろうか?脂肪やカロリーの多いアボカドのような食品も課税すべきなのだろうか?
食品を「良い」「悪い」に分類することは健康的な体重を維持しようとしている人々にも誤解を与える。もし食品中の脂肪が一概に悪いものとみなされて脂肪を減らした食品が大量に出回るとそのような食品が痩せるのに役立つと誤解されるだろう。もちろん低脂肪製品は痩せるのに役立つだろうが、役立つかどうかは総カロリーであって脂肪のグラム数そのものではない。同様にファストフードは悪いものとされるが、これも誤解である。
さらにPaterson知事はそのような税で歳入が増えると計算しているが、それでは肥満予防のための消費抑制が課税の目的だという提案に矛盾する。消費が減れば税収は増えないのでは?この案で健康的なライフスタイルが促進できるとは思えない。