食品安全情報blog過去記事

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A1及びA2ミルク

A1 and A2 Milk
11 February 2009
http://www.foodstandards.gov.au/newsroom/factsheets/factsheets2009/a1anda2milkfebruary24196.cfm
A2ミルクが子どもたちの自閉症統合失調症、糖尿病、心疾患から守るという主張がある。FSANZは入手できる情報から、何ら食品基準改定の根拠とはならないと確信している。
A1及びA2ミルクとは何か?
ミルクには多くの種類の蛋白質が含まれる。乳牛の系統や動物の種類により各種蛋白質の割合は大きく異なることがある。
牛乳に含まれる主要6種の蛋白質のうち、4種はカゼインで2種は乳清蛋白質である。カゼインは通常牛乳蛋白質の約80%を占める。主なものはベータカゼインである。ベータカゼインにはいくつかの種類があり、最もよくあるものがA1(このタイプのカゼインが多いものをA1ミルクという)とA2(このタイプのカゼインが多いものをA2ミルクという)である。
Friesians(ホルスタイン)のようなある種の品種の乳牛は主にA1ミルクを生産し、ガンジー種のような牛やヒツジやヤギは主にA2ミルクを生産する。オーストラリアとニュージーランドで生産されているミルクは通常A1とA2ミルクの混合である。
こうした主張に対してFSANZはどう考えるか?
FSANZは2つのミルクの健康影響に関する極めて限られた科学的データを検討し、内部及び理事会レベルでこの問題を検討した。FSANZはさらなる研究が遂行中であることに注意しつつ、いくつかの興味深い仮説が検討されているが現在入手できるデータを基に規制対応に進むことはできないと結論した。FSANZはA1とA2を考慮した食品基準のミルク規定を改定するような申請は受け取っていない。
EFSAは2009年2月にベータカゼイン(特にベータカソモルフィン-7と呼ばれる乳蛋白質)と乳やその他の食品に含まれる関連ペプチドの健康影響の可能性についての化学的文献の詳細レビューを発表した。EFSAは以下のように述べている:
「このレビューに基づき、EFSAは食事からのBCM7や関連ペプチド又はそれらの前駆体蛋白質の摂取と非伝染性疾患の因果関係は確立されていないと結論した。従って公式リスク評価は薦めない。」
消費者はミルクを避けるべきか?
ノー。FSANZはミルクはほとんどの人にとって安全で栄養価の高い食品の一つと見なされ続けるべきであると考える。