食品安全情報blog過去記事

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WHO紀要 3月号

Bulletin of the World Health Organization (BLT)
Volume 87, Number 3, March 2009, 161-244
http://www.who.int/bulletin/volumes/87/3/en/index.html
蚊戦争
Mosquito wars
デング熱対策として遺伝子組換え蚊を放つという方法が検討されている。そのレポート。
チチュウカイミバエによる作物の被害を防ぐ方法として照射オスの環境放出は50年以上実施されてきている。しかし蚊に対しては、不妊にするための照射量ではオスが弱ってしまうため応用できなかった。オックスフォード大学とイングランド南部のバイオテクノロジー企業OxitecはAedes aegypti(ネッタイシマカ)のDNAに単一遺伝子を挿入することでその子どもが成長する前に死ぬオスを作ることができることを発見した。Oxitecの発見はマレーシアの医学研究所と共同で行った半野外試験で成功を収め、マレーシア政府は遺伝子組換え蚊のリスク評価を主導しマレーシア科学アカデミーが別に評価を行っている。そしてこのプロジェクトは規制や倫理の問題をクリアしたら次のステップに進めるべきだと助言している。次のステップは島のような自然の隔離地での開放系での試験であろう。
デング熱やチクングンヤ熱などAedes蚊の媒介する病気はインドだけで毎年13億ドルの負荷となっている。
GM技術はそれだけで問題を解決する銀の弾丸ではないが、包括的疾患管理システムの1要素となるであろう。