食品安全情報blog過去記事

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小麦のカビが世界の作物を脅かしている

Nature ニュース
Wheat fungus threatens global crops
Emma Marris
17 March 2009
http://www.nature.com/news/2009/090317/full/news.2009.168.html
さび病の拡大を止めるためにメキシコで会合が行われる
小麦に感染する黒さび病(Puccinia graminis)の壊滅的系統がアフリカ大陸から出て他の大陸の小麦栽培地域に拡散している。この系統はUg99と呼ばれ、1999年にウガンダで同定されたものであるが、現在ケニアウガンダエチオピアスーダン、イエメン、イランで見つかっている。
Natureはこの会合で3人の専門家に話を聞いた。
さび病とは何か?
さび病は歴史的に最も重要な小麦の病気であり、聖書にも記載されている。
このカビは植物を完全に殺してしまう。1ヘクタールあたり10*11の胞子を作成し条件が良ければたちまち拡散して恐ろしい大流行を引き起こす。
Ug99がどうしてそれほど問題なのか?
これまで小麦にはたくさんの黒さび病耐性品種があるがUg99はほとんどの耐性遺伝子が無効である。小麦は世界の重要な作物の一つであるため、途上国では飢餓や栄養不良が拡大したくさんの命が失われる可能性がある。
何故科学者は耐性小麦に強い黒さび病系統が発生することを予想しなかったのか?
アフリカからUg99が発生したのは驚くことではない。新しいさび病菌が中央アフリカから発生することは知っていた。このためCIMMYTは1980年代半ばからケニアに研究拠点を置いて早期警告をみつけようとしてきた。しかし農業研究への出資が減ったためCIMMYTはケニアでの研究を維持できなくなりその結果としてUg99が拡大した。
Ug99が見つかってから10年で何をしたのか?
1999年に世界に警告し、資金援助を要請した。しかし反応はなかった。この問題を伝えるのにノーベル賞受賞者Norman Borlaugのような巨人が必要だった。
現在世界中から耐性小麦を集めて小さな耐性をもつ遺伝子を集めて大きな耐性を得られないかを捜している。
農家は何時Ug99耐性品種が得られるか?
世界はUg99に準備できているか?


EurekAlertからは

  • 植物の疫病対策強化のために40ヶ国の小麦専門家がメキシコに集まる

Wheat experts from 40 countries gather in Mexico as battle
intensifies against plant plague
17-Mar-2009
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2009-03/bc-wef031109.php