食品安全情報blog過去記事

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抽出溶媒としてのジメチルエーテル使用の安全性

Safety in use of dimethyl ether as an extraction solvent
17 March 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902387011.htm
ジメチルエーテル蛋白質の加工、特にコラーゲンに、食肉産業で使用され通常最終製品に0.5-1.0%(w/w)存在する。
ジメチルエーテルの毒性は主に吸入暴露により調べられ、大気中濃度1000ppm(1884 mg/m3に相当)で暴露するとラットの各種組織中濃度は14-22 mg/kgとなる。気体の濃度で750-2000ppmの範囲では組織中分布は大気濃度と比例する。
CEFパネルはほとんどの場合吸入暴露データは直接経口暴露には外挿できないと考える。しかしながらエーテルに関しては経口でも吸入でも体内分布が類似するので吸入データが経口での毒性評価に使用できると考えた。
吸入試験での知見から、ジメチルエーテルの毒性は低いことが示唆される。遺伝毒性はなくラットやハムスターでの亜慢性、慢性、発がん性試験で最大47106 mg/m3まで吸収しても意味のある毒性影響は見られなかった。2つの生殖発達毒性試験では、1つは最大52759 mg/m3まで影響なし、もう一つではNOELを1250 ppm(2355 mg/m3)に設定した。このラットでの胚-胎児吸入毒性試験におけるNOELは、ラットの体重を0.25kg、呼吸量が240 ml/min、1日6時間暴露の吸入による吸収効率を75%と仮定したときの体内暴露量は約630 mg/kg体重/日となる。
申請者によれば抽出した動物蛋白質ジメチルエーテル残留基準値は9microg/kgと提案されている。1日に2%のジメチルエーテル抽出物を含む動物蛋白質を含む食肉製品を1kg食べるという最悪シナリオの場合、消費者の推定暴露量は0.18 microg/人/日(体重60khgで0.003 microg/kg体重/日)となる。これはNOEL(630 mg/kg体重/日)の10 ^ 8倍低い。
従って提案されている使用条件では安全上の懸念はない。