食品安全情報blog過去記事

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食品中のグリシダミドにリスクはあるか?

17.03.2009
http://www.bfr.bund.de/cm/208/besteht_ein_gesundheitliches_risiko_durch_glycidamid_in_lebensmitteln.pdf
2008年の夏にミュンヘン工科大学の研究者らがポテトチップからアクリルアミドの他にグリシダミドを検出した。ジャガイモや穀物を高温で処理するとアクリルアミドだけではなくごく微量のグリシダミドもできる。グリシダミドはアクリルアミドの代謝物で、アクリルアミドについては2002年に食品中に検出されて以来注目されている。食品を加熱することでアクリルアミドからグリシダミドができることはこれまであまり良く知られていない。
グリシダミドはアクリルアミドの発がん性や毒性の原因となる物質と考えられている。アクリルアミドを含む食品を食べると一部がグリシダミドに変換される。グリシダミドには変異原性がある。グリシダミドの純品で試験を行うとグリシダミドは体内に取り込まれる。
こうした背景のもと、BfRは食品中のグリシダミドにリスクがあるかどうかを評価した。
ジャガイモ製品を加熱すると比較的少量のグリシダミドができる。グリシダミドはアクリルアミドを含む食品を食べた場合に体内でできる量の方が多い。従ってミュンヘン工科大学の研究で検出された量のグリシダミドのリスクは比較的小さい。BfRは食品のアクリルアミド含量削減を進めることが必要だという見解である。
ミュンヘン工科大学の研究者らによる報告
Development of a Stable Isotope Dilution Assay for the Quantitation of Glycidamide and Its Application to Foods and Model Systems
J. Agric. Food Chem., 2008, 56 (15), pp 6087 6092
ジャガイモ検体から検出されたグリシダミドの量は0.3 −1.5 μg/kg)

  • 食品中のグリシダミドに関するQ & A

17.03.2009
http://www.bfr.bund.de/cd/28580
ミュンヘン工科大学の科学者らがポテトチップからアクリルアミドの他にグリシダミドを検出した。グリシダミドはアクリルアミドの代謝物で、BfRは既にアクリルアミドのリスク評価の際に毒性を評価している。ここにQ & Aを示す。
グリシダミドとは何か?
グリシダミドは健康に悪影響があるか?
食品中のグリシダミドに規制値はあるか?

基準値はなくできるだけ減らすことを推奨している。
グリシダミドを避けるために消費者にできることは何か?
グリシダミドはアクリルアミドと同様に炭水化物の多い食品の加熱により生じるので、180度以下の温度での調理に心がけることで減らせる。
消費者はグリシダミドを避けるために食品の調理に不飽和脂肪酸ではなく飽和脂肪酸を使うべきか?
食品のグリシダミド分析により不飽和脂肪酸の多い油で揚げた方がココナツ油などの飽和脂肪酸の多い油を使った場合より多くのグリシダミドができることが示されている。従って調理に飽和脂肪酸の多い油を使うとごく微量のグリシダミドを避けられる。しかし飽和脂肪酸は心血管系には悪影響がある。従ってBfRの見解では、ごく微量のグリシダミドを避けるために飽和脂肪酸を使うことによる消費者の利益はない。