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早期警告

Nature 458, 679 (9 April 2009)
Editorial
Early warnings
がん検出のためのスクリーニング計画は必ずしも期待通りの救命効果をあげていない。事態改善には広範な分野での協力が必要である。
例えば前立腺がんの早期発見のためのPSAスクリーニングは前立腺がんによる死亡に何の影響もなかったとの報告がNEJMに発表され、もう一つの研究ではスクリーニングにより前立腺がんの死亡率は20%下がったものの同時に極めて高い過剰診断リスクがあったとされる。どちらも多くの男性がスクリーニング計画の結果不必要な治療を受けたことを見いだしている。子宮がんについても早期に発見されたがんは遅くなって発見されたがんより良性であることが報告されている。乳がんや肺がんでも増殖が遅く発見が容易ながんは致死的ではなく、悪性度の高いがんは現在の検査では検出できず、疑陽性による不必要な治療という検査そのもののリスクがある。
子宮頸がんなど一部のがんスクリーニングには明確な有効性があるが他の多くは有効ではない可能性がある。これは早期発見に意味がないということではなく、現在の方法があまり良くないということである。