食品安全情報blog過去記事

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EFSAは動物飼料中の望ましくない物質についての30のリスク評価を完了した

EFSA completes 30 risk assessments on undesirable substances in animal feed
15 April 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902444045.htm
EFSAのCONTAMパネルは動物飼料中の望ましくない物質について5年以上にわたる一連のリスク評価の最終意見を完了した。これらの意見は欧州委員会からの要請により出されたものである。
これらの望ましくない物質は天然物だったり環境やその他の汚染に由来するものだったりする。望ましくない物質を排除することは必ずしも可能ではないが、動物やヒトや環境のために削減することが重要である。
動物飼料中の望ましくない物質の最大規制量はEU指令Directive 2002/32/ECの Annex Iにリストアップされているが、EFSAの個々の評価に基づき更新される。
最後の意見は亜硝酸塩。

  • 動物飼料中の望ましくない物質としての亜硝酸塩 CONTAMパネルの意見

Nitrite as undesirable substances in animal feed[1] - Scientific Opinion of the Panel on Contaminants in the Food Chain
15 April 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902444119.htm
亜硝酸塩は天然に窒素サイクルの窒素固定時に生じ、硝酸塩に変換され、植物に吸収される。亜硝酸塩の主要2形態はナトリウム塩とカリウム塩である。
動物の組織には、主に内因性の硝酸塩の変換により天然に存在する。動物飼料は外来性の亜硝酸塩源であり、過剰摂取による毒性があるためDirective 2002/32/ECにより亜硝酸ナトリウムの最大規制値が設定されている。ヨーロッパでは飲料水中の亜硝酸塩濃度は0.5 mg/Lが最大規制値である。まぐさの硝酸塩濃度は天然に高く、硝酸塩と亜硝酸塩の相互変換のため食用動物の亜硝酸塩暴露に最も大きく寄与する。亜硝酸塩そのものの暴露は野菜飼料やまぐさの使用、肥料や堆肥又はサイレージに保存料として使用された場合、加工ペットフード、かつてはフィッシュミールなどによる。さらに硝酸塩の還元により、飲料水も亜硝酸塩暴露源となり得る。硝酸塩と亜硝酸塩の測定に用いられる主な分析法は、感受性と特異性の点で分光法である。EU加盟3か国から飼料中の分析結果が報告され、全ての飼料において最大規制値を下回っていた。
急性毒性は硝酸塩より亜硝酸塩が約10倍高く、主な毒性のエンドポイントとしては3つが知られている:メトヘモグロビンの生成(ヒトを含む多くの生物種)、副腎球状帯の肥大(ラット)、発がん性に関する曖昧な根拠(雌のマウス)、である。亜硝酸塩のADIはCONTAMパネルが0-0.07 mg/kg体重/日と設定している。
単胃動物では亜硝酸塩のほとんどは上部消化管で生成し吸収される。一方反芻動物では硝酸塩と亜硝酸塩は第一胃で代謝される。過剰の亜硝酸塩暴露による有害影響の報告があり、主要食用動物としてはブタと反芻動物の感受性が特に高い。これはブタの場合は亜硝酸塩還元酵素活性が相対的に低いことと、反芻動物では第一胃での硝酸塩の亜硝酸塩への変換率が高いことによる。報告されている研究では飼育条件が多様であるがブタとウシのNOAELは3.3 mg/kg/日と推定されている。一方現行規制値の最大量(10 mg/kg)での最終飼料からの推定総摂取量はブタで0.37 ウシで0.65 mg/kg/日で(内因性の亜硝酸塩生成は除く)、NOAELと比較した安全マージンは9及び5である。CONTAMパネルはこのレベルではGAP下で飼育されている動物の健康に懸念はないと考える。家畜の健康を守ることは、生産者に対し飼料に硝酸塩が高濃度含まれる場合、硝酸塩と亜硝酸塩の相互変換により差硝酸塩中毒が起こりうることを啓発することでさらに強化されるだろう。
生鮮動物製品(ミルクや肉や卵)由来の亜硝酸塩の典型的なヒト食事暴露量は総食事暴露量の2.9%に過ぎない。そのような生鮮動物製品由来の亜硝酸塩濃度はヒト健康に懸念とはならないと結論した。