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燻製香料一次製品の安全性 Scansmoke PB 1110

Safety of smoke flavour Primary Product - Scansmoke PB 1110
22 April 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902460876.htm
ブナ90%オーク10%の混合木材をくすぶらせてタールを分離し、煙を濃縮し液層をタールから分離し蒸留・抽出して混合した製品。製品の組成は50%が溶媒としての水、揮発性画分は25%でそのうち88%について化合物がわかっている。ベンゾ[a]ピレンやベンゾ[a]アントラセンの濃度は基準値以下でPAH濃度は低い。
通常の使用による食事からの暴露量は申請者によれば14 mg/kg bw/日と推定される。CEPパネルは21.8-30.0又は16.2-28.3 mg/kg bw/日と推定した。
細菌でのin vitro遺伝毒性は陰性であるがマウスリンパ腫アッセイでは陽性で染色体レベルでの遺伝毒性があることを示す。In vivoマウス骨髄小核アッセイでは陰性、ラットへの経口投与により肝細胞の不定期DNA合成誘発性がある。全体としてはScansmoke PB 1110はin vitroマウスリンパ腫アッセイでは陽性であるが二つのin vivo遺伝毒性試験で陰性であるためin vitro遺伝毒性についての懸念は排除できる。
ラットの90日間経口投与試験でのNOAELは9000 mg/kg餌で、これは雄で689mg/kg bw/day 雌で975 mg/kg bw/dayに相当する。NOAELの700 mg/kg体重/日と推定摂取量のMOEは伝統食品への高使用推定で48-84、通常使用推定で58-104となる。Scansmoke PB 1110には長期試験データがないこと、生殖発生毒性データがないことなどから、より大きな安全性マージンが必要であろう。従ってこの安全性マージンは不十分で、Scansmoke PB 1110には安全上の懸念がある。