食品安全情報blog過去記事

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米中のヒ素研究発表

Arsenic in rice research published
Thursday 21 May 2009
http://www.food.gov.uk/news/newsarchive/2009/may/arsenicinriceresearch
FSAは本日2つの研究の結果を発表した:米飲料中のヒ素濃度と、米のヒ素濃度を削減するための調理方法についてである。米飲料調査の結果、FSAは、幼児や小さい子どもはライスミルクとして知られる米飲料を、牛乳や母乳や乳児用ミルクの代用品として飲むべきではないと助言する。
米飲料調査は、昨年この種の飲料のヒ素濃度を調査した研究結果が発表されて懸念があるとされたために行われた。本日発表された調査では60検体の米飲料を対象とし、その全てから低濃度のヒ素が検出された。
ヒ素濃度は0.010-0.034 mg/kgで、有害性の高い無機ヒ素濃度は0.005-0.020 mg/kgであった。米飲料検体中の無機ヒ素の割合は48-63%だった。 いずれの結果も原稿の法的基準値を超えていない。
二つ目の研究では、米のヒ素濃度に与える調理法の影響を調べた。この研究の結果、FSAは異なる調理法による総ヒ素摂取量への影響は最小限であったため、 米の調理法の変更は薦めない。
FSAの助言
予防的措置として、1-4.5才の年齢の幼児や小さい子どもは、牛乳や母乳や乳児用ミルクの代用品として米飲料を飲むべきではない。それはそうすると比較的大量に飲むことになるので、より大きな子どもや成人よりヒ素の体重あたりの摂取量が多くなるからである。そのような代用によりできるだけ少なく維持すべきである無機ヒ素の摂取量が増える。1日に半パイント又は280 mLの米飲料を飲むと、毎日の無機ヒ素摂取量が2倍になる。
米飲料を飲んでいる子どもたちに直ちにリスクがあることはなく、長期の有害影響もないであろうが、さらなるヒ素暴露を減らすために保護者はこれらの飲料を幼児や小さい子どもに与えるのを止めるべきである。
もし子どもに牛乳アレルギーがあるのなら、専門家に適切な代用品についての助言を求めることを強く薦める。
その他の人々は米飲料からの無機ヒ素摂取量が体重あたりで比較的少ないので食生活を変更する必要はない。
1才以下の子どもは母乳又は乳児用ミルクを飲むべきである。12ヶ月になるまでは牛乳もその他の代用品も適切ではない。

この話の背景にある科学
ヒ素は環境中の広く分布している。土壌や水−海水にも淡水にも−やほぼ全ての植物や動物の組織に存在する。結果的にヒ素は多くの食品に天然にごく微量含まれ、完全に避けることはできない。ヒ素の有害性は化学型に依存し、無機ヒ素は遺伝子(DNA)を傷つけてがんを誘発するが有機ヒ素の有害性は少ない。
米や米製品はその他の食品に比べると無機ヒ素濃度が高い。FSAに助言を行う独立科学委員会COTは、無機ヒ素についてはできるだけ摂取量を少なくするべきであると結論している。
現在の規制
食品中のヒ素濃度についてEU全域にわたる規制はない。英国では、食品中ヒ素濃度には1 mg/kgという一般的な規制値がある。一部の食品には別に規制値がある。例えば、すぐに飲むことができる非アルコール飲料ヒ素規制値は0.1mg/kgである。この規制のコピーは公共情報事務所から入手できる。
この英国規制は、無機ヒ素に発がん性があることがわかる前の1959年に設定された。
ヨーロッパでは食品中のヒ素によるヒト健康リスクを評価するための議論が始まっている。EFSAが意見を求められており、2009年9月に意見を発表する予定である。これに続いてEU全域での食品中ヒ素濃度規制が設定されるかもしれない。


調査結果
濃度
Survey of total and inorganic arsenic in rice drinks
Thursday 21 May 2009
http://www.food.gov.uk/science/surveillance/fsisbranch2009/survey0209
http://www.food.gov.uk/multimedia/pdfs/fsis0209arsenicinrice.pdf
個別の商品名とヒ素濃度が記載されている
(オーガニックと謳っている製品がかなりある。日本ではこの手の商品はあまり見ない。お粥のほうが美味しそうだし。
なお赤ちゃんに牛乳アレルギーがある場合、豆乳製品も薦められてはいないので医師に相談の上きちんとした商品を使うように。)

調理法の影響
http://foodbase.org.uk/results.php?f_report_id=322
ヒ素を減らすためには良く洗うことと大量の水でゆでる(水は捨てる)こと、とある。
(そんなのごはんじゃない!ので日本では応用できなさそう。)

参考
各種食品中のヒ素濃度
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/chemical/hiso_level/index.html