食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

照射キャットフードの毒性 オーストラリア

Irradiated cat food toxicity Australia
16-JUN-2009
http://www.promedmail.org/pls/otn/f?p=2400:1001:605201381822666::NO::F2400_P1001_BACK_PAGE,F2400_P1001_PUB_MAIL_ID:1000,77987
[1] The Sydney Morning Herald Sat 30 May 2009
政府が輸入ペットフードの照射を義務づけているせいで謎のネコの死亡がおこった
農業大臣Tony Burkeが、照射ドライフードを食べたネコに致死的神経傷害がおこることがあるという海外の報告により、10年以上前から行われている殺菌方法を直ちに止めるようにと命令した。イヌには影響しない。
シドニーの獣医Georgina Childの前で、昨年約90匹のネコが病気になり30匹が死亡した。11月に謎の病気とカナダのグルメペットフードブランドOrijenとの関連が疑われた。製造業者のChampion Petfoodsによれば、一定温度以下で調理されたペットフードにはオーストラリアの検疫が到着の際に50キログレイでの照射を要求している。Champion Petfoodsは60ヶ国にペットフードを輸出しているが、照射を強制しているのはオーストラリアだけである。オーストラリアの検疫当局は照射している放射線量は無害であると主張している。食品にも照射は行われているが線量はもっと低い。
Burke大臣によると、2009年5月18日の週に農業省が受け取ったばかりの報告書を根拠に対応を決定した。
[2] The VIN (Veterinary Information Network) News Service  Mon 8 Jun 2009
オーストラリアにおける照射餌によるネコの神経疾患アウトブレークには前例がある
照射餌による神経系疾患は1998年以降世界で少なくとも3件報告されている。アイルランド、米国で実験用ネコで、そしてオーストラリアでペットのネコで。
Georgina Childによれば、オーストラリアのネコの最初の徴候は問題のペットフードを食べ始めて3-6ヶ月で見られ、初期症状は覚束ない足取り、飛び乗りをしなくなる、テーブルから落ちるなどのバランスの消失である。組織学的には、主に脊髄の、しかし脳幹や大脳にも及ぶ広汎性で対称的で重症の、脱ミエリン化が特徴の白質変成である。
ProNASに報告されたSPFネコで見られた照射飼料による麻痺では、十分な時間とケアがあれば回復するとDuncan教授は述べている。
PNAS April 21, 2009 vol. 106 no. 16 6832-6836
Extensive remyelination of the CNS leads to functional recovery
http://www.pnas.org/content/106/16/6832.full
アイルランドの事例は190匹の同時に飼育されていた短毛種家猫が4年の間に後ろ肢の歩行失調や感覚失調をきたした。これらもSPFネコであった。思いがけなく研究者らはネコに対照群を設けていてSPFと通常の状態とで同じ餌を照射するかしないかだけの違いで与えていた。照射していない餌を与えられていたコロニーには異常は見られなかった。照射餌の代わりに殺菌された缶詰め餌を与えるようになってからネコが病気になることはなくなった。
Vet Pathol 2007; 44: 912-6;
available at http://www.vetpathology.org/cgi/content/full/44/6/912
何故照射がネコに有害なのかは不明である。照射によりドライフードのビタミンA濃度が低下するせいかと考えられたが否定された。
オーストラリアでの照射中止はネコ用フードだけであるが、Champion Petfoodsはイヌ用フードもオーストラリア市場からは引き上げた。ネコがイヌのえさ入れから食べることは良くあるからである。
長い注釈付き
アクリルアミドについての記述もある
ネコは特に神経毒性への感受性が高いので注意が必要。
(ジャンプ力が無くなってきたら要注意と)