食品安全情報blog過去記事

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オーストラリアにおける葉酸強化義務化

ファクトシート
Mandatory folic acid fortification in Australia
23 July 2009
http://www.foodstandards.gov.au/newsroom/factsheets/factsheets2009/mandatoryfolicacidfo4389.cfm
葉酸強化義務化とは何か?
2009年9月から、オーストラリアの製粉業者はパン用小麦粉に葉酸(ビタミンBの一種)を添加することが義務づけられる。このことはオーストラリアのほとんどのパンに添加した葉酸が含まれることを意味する。
葉酸とは何か?
葉酸は妊娠初期の健康な発育、特に神経系に必要なビタミンBの一種である。このビタミンは天然に緑の葉物野菜などの食品に含まれることから葉酸と名付けられた。食品に添加されるのは合成葉酸で、天然型よりより吸収されやすい形になっている。
誰が何故葉酸を必要とするのか?
葉酸は妊娠初期に赤ちゃんが健康に発育するために重要である。女性がまだ妊娠に気がついていない場合も多々ある人生の最初の数週間の赤ちゃんの発育はとても早い。神経管は妊娠早期に閉じて融合するが、もしこれが閉じないと二分脊椎などのような神経管欠損になる。ほとんどの神経管欠損予防のためには妊娠の少なくとも1ヶ月前から妊娠3ヶ月までの間に推奨量の葉酸を摂ることが
薦められる。
何故小麦粉に葉酸が添加されなければならないのか?
10年以上前からオーストラリアとニュージーランドは、神経管欠損の削減のために妊娠を計画している女性又は妊娠するかもしれない女性の葉酸摂取量増加のための対策を行ってきた。食品のラベルに表示する、教育プログラム、食品への任意の葉酸添加、女性への葉酸サプリメントの摂取推奨などである。こうした対策にも関わらず、生殖可能年齢の女性の葉酸摂取量は未だ十分ではない。神経管欠損から守るために葉酸添加義務化を導入するのである。
どのような食品が葉酸を含むのか?
2009年9月から、パン用小麦粉には葉酸が含まれなければならない。つまり普通のパンや菓子パン、ロールパン、ベーグル、フォカッチャ、イングリッシュマフィン、フラットブレッドなどに添加された葉酸が含まれる。他にパン用小麦粉で作られる可能性のあるクランペット、スコーン、パンケーキ、ホットケーキ、クレープ、イーストドーナツ、ピザ生地、パン粉などに含まれる可能性がある。家庭用パン用小麦粉ミックスにも添加されるが、他の家庭用小麦粉には要求されない。
他に朝食シリアルやイーストスプレッドやフルーツジュースにも任意で添加されることがある。製造業者による任意の添加は今後も可能である。
葉酸を含まないパンはあるか?
オーガニックパンには添加は義務化されない。ライ麦やコーン、米などの他の穀物から作ったパンには小麦粉が含まれない限り葉酸は含まれない。しかしながら製造業者による任意の添加は可能である。
どの食品に葉酸が含まれるかどのようにして知ることができるか?
成分表示に葉酸と表示される。包装されていないパンなどは要望により情報提供される。
女性にはどのくらいの量の葉酸が必要なのか?
神経管欠損リスク削減のためには毎日最低400microgが必要である。神経管欠損の家族歴がある女性はさらに多く必要かもしれないので個別の情報は医師に相談するように。
葉酸の良い摂取源は何か?
食事から神経管欠損リスク削減に十分な葉酸を摂るのは難しい。十分な葉酸を摂る最良の方法は、天然に葉酸を多く含む食品と葉酸添加された食品に加えて、毎日400microgの葉酸サプリメントを摂ることである。
葉酸添加食品には朝食シリアルやイースト抽出物やフルーツジュースがある。
パンの葉酸強化義務化後は平均100gあたり120 microgの葉酸を含むだろう。
十分な葉酸を摂れば全ての神経管欠損が予防できるのか?
十分な葉酸は神経管欠損リスクを相当量減らすものの全てを無くすことはできない。神経管欠損の詳細についてはオーストラリア二分脊椎&水頭症協会のウェブサイトで。
葉酸を摂ることによる有害影響はあるか?
最良の科学的根拠に基づき、葉酸強化による葉酸摂取量の増加による公衆衛生上の明確なリスクはない。葉酸強化義務は米国やカナダで10年以上安全に実施されている。保健当局は食品供給における葉酸濃度増加の有効性については監視するだろう。