食品安全情報blog過去記事

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ヨウ素過敏症と強化義務化

ファクトシート
Iodine sensitivities and mandatory fortification
23 July 2009
http://www.foodstandards.gov.au/newsroom/factsheets/factsheets2009/iodinesensitivitiesa4391.cfm
ヨウ素強化義務化とは何か?
2009年10月から、オーストラリアとニュージーランドのほとんどのパンにヨウ素添加塩に由来するヨウ素が含まれることになる。これは人々のヨウ素欠乏再興対策としてFSANZがヨウ素強化規制を作成したことによる。
ヨウ素甲状腺ホルモンを作るのに必要な必須栄養素である。ヨウ素強化義務化により食品に添加されるヨウ素の量は我々の身体の必要量に応じたものである。この量ではヨウ素過敏反応がおこるリスクは増加しないだろう。
ヨウ素と添加義務についてのさらなる情報はFSANZのウェブサイトで提供している。
何故ヨウ素が必要なのか?
ヨウ素は人生に必須の栄養素であるミネラルである。首のところにある小さな蝶の形をした臓器である甲状腺は、代謝調節に必須のホルモンである甲状腺ホルモンを作るのにヨウ素を必要とする。特に胎児を含む小さな子どもたちにおいては、甲状腺ホルモンは肉体的精神的発育を調節する役目を果たしている。
もし私がヨウ素にアレルギー/感受性だったら?
一部の人々は各種のヨウ素含有又はヨウ素の多い食品により一連の有害反応を起こす。これらの人々はX線撮影時に使われる造影剤やヨウ素ベースの消毒剤やシーフードなどのヨウ素含有物質に、時に重症の、反応をする。そのような反応はしばしば「ヨウ素アレルギー」と呼ばれる。これらの物質や食品にヨウ素が共通して含まれているものの、観察される反応はヨウ素によるものではなく、ヨウ素に結合している他の化合物によるものである。ヨウ素添加塩に使用されるヨウ素はそれ自身がアレルギー反応を引き起こすには小さすぎる。
一部の人々はヨウ素の過剰摂取による有害反応が起こりやすい。そのような反応はヨウ素過敏症とよばれるが、真の意味でのアレルギー反応ではない。そのような反応は、ヨウ素添加義務化した後であっても普通の食品から摂る量より遙かに多い、極めて高濃度でのみおこる。しかしながら一部の海藻や昆布製品のような極めて高濃度のヨウ素を含む食品やサプリメントヨウ素過敏症の人に反応を起こす可能性がある。
甲状腺疾患がある場合は?
甲状腺疾患がある人々にとって、ヨウ素強化によるヨウ素摂取量の増加はあまり多くはないので有害影響はおこりそうにない。さらにそのような人々は医師の治療を受けており、可能性は高くはないがもし甲状腺の機能に変化がおこるようなことがあったとしても定期検査でわかるだろう。
Graves病(バセドウ病)を含む甲状腺機能亢進症の人はヨウ素摂取量増加に反応しやすいかもしれない。そのため彼らは一部の風邪薬やヨウ素含有造影剤や昆布やシーフードなどのヨウ素を多く含む医薬品や食品やサプリメントなどを避けるように助言されている。これらの製品は一回で数百microgから数mgのヨウ素を含む。一方ヨウ素強化によるオーストラリア人のヨウ素摂取量の増加は1日約54 microgで、大きなコップ一杯(300 ml)の牛乳に含まれるヨウ素の量と同じくらいである。
ヨウ素強化により私のニキビは悪化するだろうか?
普通の食生活から摂る量を超える極めて高用量のヨウ素は、一部の感受性の高い人々のある種の炎症性ニキビを悪化させることがある。これらのニキビは通常のニキビとは違う。ヨウ素強化義務化は炎症性のニキビを誘発しない。強化により人体に必要な量にヨウ素摂取量を増やすだけである。
私がヨウ素過敏症だと思う場合はどうすればよいか?
もしあなたがヨウ素摂取量増加で有害影響が出ると思われるなら、医師に相談して適切な診断を受けること。食品は複雑な成分からなることを忘れないで欲しい。あなたはヨウ素が疑わしいと思っているとしても、問題を起こしているのは別の成分かもしれない。その場合には、あなたは必要もないのに要素を避けていることになる。識別には適切な評価が必要である。
もしヨウ素過敏症が確認されたら、次にやるべきことは大量のヨウ素を含む食品を避けるための適切な食事助言を得ることである。
ヨウ素強化義務化は安全か?
ヨウ素強化義務化案をつくるにあたって、FSANZはアレルギーを含む各分野の専門家からなるヨウ素に関する科学助言委員会を設立した。FSANZはこの委員会に常に相談し、ヨウ素添加義務化によるなんらかの有害健康影響リスクは全ての集団において極めて少ないと結論した。