食品安全情報blog過去記事

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FSAはオーガニックレビューの妥当性を強調

Agency emphasises validity of organic review
Friday 7 August 2009
http://www.food.gov.uk/news/newsarchive/2009/aug/letter
FSA長官のTim Smithは関係団体からの公開質問状に答えてオーガニックレビューについて回答した。この文書で長官は、先週発表されたオーガニック食品と通常生産された食品との間に重要な栄養成分含量の違いはないという研究は妥当であることを強調した。
長官の回答文書のコピー
FSAはオーガニック食品と通常生産された食品との栄養価を比較した研究の発表について、事実関係を明確にしたい。このレビューは我々のオーガニック食品についての立場を最新の科学的根拠に基づいたものとして確認するために委託したものである。さらにこの分野の研究が多く発表されているためにオーガニック部門からも要請されていた研究である。
農薬はこの研究の対象からは除外されている。なぜならば我々は農薬の安全性については既に明確であるという立場であるからである。農薬は厳密に評価されその残留量は念入りに監視されている。このことから、オーガニックであろうと通常栽培であろうと使用されている農薬はヒトの健康に許容できないリスクとはならず、一年中豊富な食糧を供給するために役に立っている。
この独立した研究はLondon School of Hygiene and Tropical Medicine (LSHTM)が行ったものでこの分野において行われた研究の中では最も科学的に厳密なものである。系統的科学文献レビューで採用されている標準手法を用いて50年間の研究を調査した。期間内に発表された全てのピアレビューのあるデータが対象とされた。
この報告書は発表前にこの分野の著名な科学者たちにより厳密にピアレビューされ、さらに栄養学分野のトップの雑誌に発表された。FSAはこの仕事が妥当であることを完全に信頼している。我々の全ての発表される助言はこのように透明な形で導かれることが絶対的な基本原則である。
一部の人たちによるこのレビューの無責任な解釈によりオーガニック食品のほうが一部の栄養価が高いという主張が見られる。
このレビューは162の論文の全ての結果を報告したものである。この報告書の結論は予め設定した基準に見合う55の研究の結果に基づく。それは統計学的に有意な差が見られたものを集中的に検討している。科学的信頼性の低い論文からの恣意的な引用やデータの一部だけの使用には注意が必要である。
この報告書の重要なメッセージは、オーガニック食品を避けるべきだというものではなく、健康的でバランスの取れた食生活をすべきだというもので、栄養価については有機栽培だろうと通常栽培だろうと関係ない。


Andrewのブログ(Gill Fine代筆だけど)にもコメントがたくさんついている。
http://www.fsascience.net/2009/07/30/on_organic_food
特に気になったのはIndependentの記事にあるように
http://www.independent.co.uk/life-style/food-and-drink/news/organic-food-debate-boils-over-1767911.html
この論文の著者に嫌がらせのメールがたくさん届いているという。
ここまで来ると最早狂信者で、オーガニック食品を食べると凶暴になるのかという感じ。
科学者の多くは、この当然のことを改めて確認しただけの論文にこれだけ多くの関心が寄せられメディア報道が氾濫したことに驚いている。
個人攻撃が行われるということは如何にオーガニック支持者が虚偽の宣伝に騙されていたかを示すもの。本当に栄養価が高いと信じていた人たちが結構いるようだ。
ちなみに文句を言っている人のほとんどはこの長くて複雑な報告書本文を読んでいないだろうと思われる、とfood e-newsに書いてあった。