食品安全情報blog過去記事

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Victor Yushchenkoのダイオキシン中毒−TCDD代謝物のルーチン解析法が必要

The dioxin poisoning of Victor Yushchenko -- methods needed for routine analysis of metabolites of the poison TCDD
4-Aug-2009
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2009-08/l-tdp080409.php
Lancetにオンライン発表された論文で、ウクライナの大統領Victor Yushchenkoの2004年のダイオキシン中毒の背景にある科学を追跡している。
2004年12月後半にVictor YushchenkoはTCDD中毒になり血中濃度は一般人の5万倍以上だった。医療チームは血中TCDD及びその代謝物を同定し、各種分析技術を用いて3年間モニターした。血液、脂肪組織、糞便、皮膚、尿、汗が分析された。
3年間に排出されたTCDDのうち60%は代謝されないもとの形であった。糞便・血液・尿からは2種類の代謝物が同定された。最も高濃度の代謝物が検出されたのは便で、主な排泄ルートは糞便である。Yushchenko のTCDDの半減期は15ヶ月であった。
17種類のダイオキシンが検査されたが普通のヒトより高濃度だったのはTCDDのみで、Yushchenkoに与えられたのは純粋なTCDDだったと考えられる。
2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin (TCDD) poisoning in Victor Yushchenko: identification and measurement of TCDD metabolites
http://press.thelancet.com/yushchenko.pdf
中毒後3.5年の写真もあるがかなり良くなっている。