食品安全情報blog過去記事

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ルッコラとホウレンソウとその他レタスの硝酸塩

Nitrate in rocket lettuce, spinach and other lettuces
13.08.2009
http://www.bfr.bund.de/cm/245/nitrate_in_rocket_lettuce_spinach_and_other_lettuces.pdf
硝酸は天然に土壌中に存在し肥料としても使用される窒素化合物である。植物は蛋白質を作るのに硝酸を必要とする。さらに肉やチーズや魚製品の食品添加物としても使われる。
硝酸自身の毒性は強くはないが、体内で亜硝酸になる。亜硝酸はニトロサミンなどのN-ニトロソ化合物を作り得る。このため硝酸塩の摂取量も制限されている。
消費者は各種食品から硝酸を摂る。主な摂取源は野菜で、次いで水、穀物や果物、一部の肉やチーズや魚である。WHOはADIを0-3.65 mg/kg体重に設定している。つまり体重70kgの成人男性なら256mg、58kgの女性なら212 mg、25kgの子どもなら93mgまで生涯にわたって摂取できるということである。
レタス、ホウレンソウ、白菜、ケール、ビートの根、ラディッシュなどの各種野菜は季節や産地により天然の硝酸濃度が高い。ルッコラは特に硝酸を蓄積する。これは2000-2008年のモニタリングにより確認されている。つまりルッコラの平均硝酸濃度は4700 mg/kgから4800 mg/kgである。4年前は5000 mg/kgを超える濃度が半分以上だった。その後僅かに減少しているようだ。ホウレンソウの硝酸濃度も同様に減少している。これは農家の努力によるだろう。
BfRは硝酸濃度の高いルッコラの健康リスクを評価した。このような野菜を大量に食べるとWHOの設定したTDIをしばしば超過するが、長期間に渡って超過することは考えられないため消費者への健康リスクは無いと考えられる。EUは現在ホウレンソウとレタスの硝酸許容濃度を引き上げようとしている。またルッコラの最大硝酸濃度を初めて設定する計画である。
BfRルッコラの規制値導入には賛成であるが、現在検討中の5000又は6000mg/kgという値はもっと低くすべきだと考える。なぜならば平均的硝酸含量のルッコラを1日26g以上食べると4252 mg/kgにもなってしまうことと、他に硝酸含量の多い食品を同時に食べるとADIを超過するからである。硝酸汚染削減のために消費者に助言することは野菜は旬に食べることである。なぜならば生長速度が最も早いため硝酸含量が少ないからである。
フルバージョンはドイツ語で以下より
http://www.bfr.bund.de/cm/208/nitrat_in_rucola_spinat_und_salat.pdf