食品安全情報blog過去記事

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知らないことを知らない

Unknown unknowns
David Atkins
August 18th 2009
http://www.fsascience.net/2009/08/18/unknown_unknowns
昨日メディアが子どもたちのランチボックスにハムを入れるべきではないと報道した。赤身肉や加工肉と大腸がんの関連については幾ばくかの根拠があるが、時々ハムサンドイッチを食べることがリスクを増加させるという根拠はない−重要なことはいつもと同じ健康的でバランスの取れた食生活である。
ところで私David AtkinsはFSA でAndrewと共同でチームを率いている。 Andrewが休暇中なのでゲストとしてブログを書く。
FSAが助言しなければならないいろいろなことについての混乱は、私にDonald Rumsfeldの「知っていると知っていること」と「知らないと知らないこと」についての悪名高い台詞を思い出させる。彼の言葉は当時は面白がられたが、食の安全に関する歴史は彼が的を射ていることを示している。
「知っていると知っていること」の場合、私たちは重金属やサルモネラや放射性核種やアフラトキシンなど、食品汚染についてのたくさんの事例や研究成果がある。このような場合リスクや適切な対応はよくわかっているので必要なのは事態が変わっていないかどうかを定期的にチェックすることである。
「知らないことを知っていること」についてはFSAはより先を見越した対応をする必要がある。汚染の可能性や毒性や監視の必要性に気がついているもののどの食品が汚染されている可能性があるのかわからないような場合である。中国産ミルクのメラミン汚染が良い事例である。先に起こった動物飼料の汚染から懸念があることはわかっていたが、中国での乳児用ミルク汚染問題のスケールが国際的協調とフードチェーン全体にわたるトレーサビリティの重要性を浮き彫りにした。
「知らないことを知らないこと」はもちろん最も難しい問題である。ダイオキシンのように新しい根拠が既にある汚染に新しくて許容できないリスクを示す場合もあるし、1980年代のBSEのように汚染があることもそのリスクも新しくて予見できない場合もある。
食の安全について絶対確実は不可能であろうが、我々は研究や調査や世界中の関係者との協力により常に監視し続け知らないことを最小限にする方法を探り続ける。この仕事については9月23日に発表されるAndrewの次回年次報告書で詳細を知ることができるだろう。