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イチゴの農薬の酸っぱい後味

Natureニュース
Strawberry pesticide leaves sour taste
24 September 2009 | Nature | doi:10.1038/news.2009.943 http://www.nature.com/news/2009/090924/full/news.2009.943.html
カリフォルニアの農家が使っているヨウ化メチルがレビューされる
多くの反対意見のある農薬、ヨウ化メチルについてレビューを行うカリフォルニアの委員会が9月24日に始まる。問題点は健康への悪影響である。EPAは2007年に、燻蒸直後の立ち入り禁止などの適切な保護措置のもとで使えば健康基準に合致すると結論した。しかし2009年のカリフォルニア農薬規制局(DPR)報告ではヨウ化メチルが一般人や労働者に有意な健康リスクとなると結論した。
ヨウ化メチルはオゾン層への悪影響があるとされてモントリオールプロトコールで段階的使用禁止とされた臭化メチルの代替品である。ヨウ化メチルはオゾン層には悪影響がないが発がん性と神経毒性があり、甲状腺ホルモン産生に影響することで胎児の発育に干渉する。ヨウ化メチルの毒性は臭化メチルより一部の指標で4倍となっている。
EPAは2007年10月にヨウ化メチルを認可したが、カリフォルニアやワシントン、ニューヨーク州ではまだ認可されていない。特にカリフォルニアには2007年に臭化メチルを120万kgも使っていたイチゴ農家があるため注目が集まっている。
EPAとDPRの安全性評価の結果が違う理由は、ヨウ化メチルが風やよどんだ空気により局地的に高濃度になったところにヒトがいるかどうか、DPRが安全基準計算の際に「未知の健康影響」のために10の安全係数を使っていることなどである。さらに楽観的推定であっても農家が適切な予防措置をとることができないという懸念もある。EPAは2013年までに再評価を行う予定である。