食品安全情報blog過去記事

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  • 医師団体が大学のエネルギーヒーリングコースを批判

The Globe and Mailより
Medical group slams college's energy-healing courses
Sep. 09, 2009
http://www.theglobeandmail.com/news/national/medical-group-slams-colleges-energy-healing-courses/article1270225/
ブリティッシュコロンビア医師会がバンクーバーのLangara Collegeが医学的に効果が無くて有害影響の可能性のある治療法を一般人に訓練していることを批判している。
Langara Collegeはホリスティックヘルスコースとして虹彩学や骨呼吸法、エネルギーヒーリングなどのトレーニングを行っている。
このような治療法はそれ自体が有害ではなくても他に有効な治療法のある病気の治療を遅らせるという意味で有害である。

Quackwatchより
Resveratrol: Don't Buy the Hype
Stephen Barrett, M.D.
http://www.quackwatch.org/01QuackeryRelatedTopics/DSH/resveratrol.html
レスベラトロール(トランス-3,5,4'-トリヒドロキシスチルベン)は赤ブドウの皮に多く含まれる化合物で、漢方薬では虎杖根(こじょうこん、イタドリの根)の成分である。1990年代半ば頃から「フレンチパラドックス(比較的高脂肪の食生活なのに心疾患が少ない)」の原因の可能性があるとして注目を集めている。その後抗酸化作用や抗がん作用や植物エストロゲン作用の研究があって多くの商品が宣伝されている。
摂取源
レスベラトロールは多くの植物に含まれ、特にブドウの皮に多く50-100microg/g含まれる。レスベラトロールは植物の疾患防御システムを構成するファイトアレキシンの一種である。例えばカビなどに侵されるとp-クマロイルCoAとマロニルCoAから合成される。真菌感染は冷涼な気候で多く見られるので、気温の低いところで栽培されたブドウの方がレスベラトロールの含量が多い。
ワインのレスベラトロール含量は発酵時にどれだけ長くブドウの皮が入っていたかに依存する。従って白ワインより赤ワインの方が含量が多い。ブドウジュースにはあまり含まれない。赤ワインに含まれるレスベラトロールは1オンス(約30mL)あたり平均160microgで、ピーナッツ1オンス(約28g)あたりでは平均73 microgである。またサプリメントには20-500mgを含むと表示されている。 但しこれらの製品の純度は不明で正確かどうかもわからない。
心血管系影響
アルコール特に赤ワインを飲むことが冠動脈心疾患頻度を削減する可能性があることを示唆する研究が多くある。レスベラトロールが抗酸化作用があるという研究もある。一方レスベラトロールの抗酸化作用は赤ワインに含まれる他の化合物ケルセチンやエピカテキンより弱いという研究もある。一部の研究ではレスベラトロールに血小板凝集抑制作用が示されている。しかしながらこれまでのところレスベラトロールの活性は試験管や培養細胞での研究である。
がん関連影響
レスベラトロールのがんへの影響がいくつかあり動物実験では各種がんへの抑制作用があるが、前臨床段階である。
アンチエイジング
最近実験用マウスで加齢に伴う指標に影響があるという報告がなされたが結果は矛盾している。高脂肪食や低カロリー食のマウスでレスベラトロールが寿命を延ばしたという報告がある一方、通常の餌では効果がなかったという報告もある。ヒトでの影響は不明である。
注意
実験室での研究でレスベラトロールに何らかの好影響があったとしても、一般人がたくさん摂るべきかどうかはまだよくわからない。
ほとんどの研究がヒトではない実験系でのもので、レスベラトロール代謝もよくわかっておらず、乳がん発症促進作用がある可能性もある。赤ワインを勧めることはアルコールによる健康リスクの増加にもつながる。
ヒトにとって有用かどうかを決められるのはヒト臨床試験だけである。多くの抗酸化物質がヒト試験で失敗している。もっとも有名なのはベータカロテンに有害影響があるということである。私の助言は誇大広告に惑わされず適切な量の野菜や果物を含むバランスのとれた食生活をすることである。