食品安全情報blog過去記事

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植物ステロール

ファクトシート
Plant sterols
11 November 2009
http://www.foodstandards.gov.au/newsroom/factsheets/factsheets2009/plantsterolsnovember4503.cfm
植物ステロール(フィトステロール)は天然に多くの植物に低用量含まれるコレステロール様物質である。これを食べると血中低密度リポ蛋白質(LDL)コレステロール濃度を下げることができる。LDLコレステロールは我々によって良いものではなく、オーストラリア心臓財団は、心血管系疾患リスク削減のための一方法としてLDLコレステロール濃度を下げることを薦めている。
我々は誰でも毎日天然の食品から150-360mgの植物ステロールを摂っている。ベジタリアンは野菜や果物の摂取量が多いのでもっとたくさん摂っているだろう。植物ステロールは十分量食べると食事由来のコレステロールの吸収を減らす。
大豆油やヒマワリ油などの食用植物油から、また松の木から植物ステロール混合物の濃縮物を抽出することができる。これらをマーガリンなどのような一部の食品に添加することができ、ここ数年そのような商品が販売されている。植物ステロールを添加した食品には低脂肪ミルクやヨーグルト製品、朝食シリアルなどがある。
FSANZは現在低脂肪チーズなどにも植物ステロールの添加を認めるかどうかを検討中である。この件については基準作成についてのサイトを参照。

添加された植物ステロールは安全か?
FSANZは厳密な安全性評価を行い、ほとんどのヒトにとっては安全であると結論した。
極めて希な遺伝性の代謝病、シトステロール血症の患者は植物ステロールが添加された食品を避けるべきである。この病気の患者は植物ステロールをたくさん吸収して動脈硬化や心疾患を発症する可能性がある。世界中で報告されている患者はわずか45例で、厳密な医療監視下にある。

コレステロールを下げるのに必要な量は?
植物ステロールに効果があるのは1日2-3gである。これは大体植物ステロールを含む食品の2-3食分に相当する。

植物ステロールをたくさん食べれば効果が大きいか?
ノー。推奨量は1日2-3gである3g以上食べてもそれ以上下がらない。健康的な食生活のためには、毎日多様な食品を食べることが重要である。もしコレステロール濃度が気になるのであれば、飽和脂肪を減らして野菜や果物を多く食べるのも良い方法である。

植物ステロールを添加した食品を食べることによる他の健康影響は?
植物ステロールはコレステロールの吸収を阻害するため同時に脂溶性ビタミン、特にβカロテンの吸収もわずかに阻害する。βカロテンの多い野菜や果物を多く食べることでこの影響は最小化できる。βカロテンが多いのはオレンジ色や緑色の野菜や果物である。

コレステロール濃度を下げる薬を使っている場合には?
薬を飲んでいても植物ステロールを添加した食品を安全に食べることはできる。しかしながら、医師の処方したコレステロールを下げる薬の代わりに使ってはいけない。コレステロールを下げる薬を使っているのなら、植物ステロール添加食品が効果があるかどうかについては医師に相談するように。

子どもも植物ステロール添加食品を食べられるか?
一般論として医師からの指導がなければ子どものコレステロールを下げる必要はない。植物ステロール添加食品はコレステロール濃度を下げたい成人向けの食品である。製造業者には植物ステロール添加食品は成人向けで子ども向けではないと表示する義務がある。

妊娠中なら?
植物ステロール添加食品は妊婦で特に検査はされていない。しかしながらその作用メカニズムから特に妊婦や授乳中の女性に懸念となる徴候はない。一般論として、妊娠中や授乳中の女性がコレステロール濃度を心配する必要はなく、従って植物ステロール添加食品を食べる必要はない。

製品の植物ステロール含量はどうすればわかる?
食品に表示されている。

他の国でも植物ステロール添加食品は販売されているか?
ヨーロッパではスプレッドやミルク、ヨーグルト、チーズ、シリアルなどに使用が認められている。米国ではさらにオレンジジュースにも認められている。