食品安全情報blog過去記事

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健康強調表示の背景にある科学を評価する枠組み

Framework to Evaluate Science Behind Health Claims
May 12, 2010
http://www.nationalacademies.org/morenews/20100512.html
食品や医薬品や医療機器企業が健康強調表示を支持するものとしてFDAに提出する研究はしばしば実際の臨床上の効果ではなく代理の中間的生物学的指標への影響に関するものである。IOMの新しい報告書ではFDAがそのようなバイオマーカーの妥当性と有用性を厳密に一貫して評価するのに役立つ枠組みを推奨している。

  • プレスリリース

IOMの報告書は食品や医薬品の健康強調表示の背景にある科学を評価するための枠組みを薦める:食品の表示と医薬品の認可は同様の厳密さで評価することを求める
IOM REPORT RECOMMENDS FRAMEWORK TO EVALUATE SCIENCE BEHIND HEALTH CLAIMS FOR FOODS AND DRUGS; CALLS FOR EQUAL RIGOR IN ASSESSING FOOD CLAIMS AND DRUG APPROVALS
http://www8.nationalacademies.org/onpinews/newsitem.aspx?RecordID=12869
IOMの報告書ではFDAに対して、食品や栄養サプリメントの健康上のメリットを表示する場合の科学的根拠を評価する時には医薬品や医療技術を評価する場合と同様の厳密さを採用すべきだと述べている。食品と医薬品はどちらも人々の健康に意味のある影響を与えるのだから、健康への影響を評価するのに異なる基準を用いる科学的根拠はない。
臨床試験に時間が必要なため、企業はしばしば臨床上の効果の代わりにバイオマーカーを使う。例えばがんの治療に腫瘍サイズへの影響、心疾患リスクの指標に血中悪玉コレステロール濃度などである。
FDAは食品やサプリメントメーカーの増加する健康強調表示を評価するのに困難を来している。原因の一部は広く認められたバイオマーカーの適切さを評価するプロセスがないことにある。IOMは代用エンドポイントなるバイオマーカを評価するための三つの部分からなる枠組みを提案した。
さらに議会に対して、臨床効果の代用としてバイオマーカーに基づいて認可した医薬品や機器についてはFDAがさらなる調査を要求できるように、食品やサプリメントの強調表示を消費者が理解しているかどうかの調査ができるようにするよう要請した。
「多くの人々が食品やサプリメントに表示されている健康強調表示が医薬品と同じような科学的根拠があると自然に思いこんでいる。委員会は事実そのようにすべきだと考える。」

  • 報告書の要約

慢性疾患におけるバイオマーカーと代用エンドポイントの評価
Evaluation of Biomarkers and Surrogate Endpoints in Chronic Disease
http://www.iom.edu/~/media/Files/Report%20Files/2010/Evaluation-of-Biomarkers-and-Surrogate-Endpoints-in-Chronic-Disease/Evaluation%20of%20Biomarkers%20-%202010%20Report%20Brief.ashx
バイオマーカー評価のための3ステップとは
1.分析の妥当性−バイオマーカーの検査は適切な感度と特異性をもち再現性があり信頼できるものである必要がある
2.適格性−バイオマーカーと疾患の関連についての根拠が十分か、バイオマーカーへの介入で目的の臨床効果が得られるなどの根拠が十分あるか
3.利用可能性−バイオマーカーを使うかどうかの決定は根拠の確からしさに加えて使用目的に依存する

  • 報告書本文

http://www.iom.edu/Reports/2010/Evaluation-of-Biomarkers-and-Surrogate-Endpoints-in-Chronic-Disease.aspx
PDFで41.5ドルで購入できる
オンラインで読むなら以下
http://books.nap.edu/openbook.php?record_id=12869