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米国における予防可能ながん

Lancetエディトリアル
Preventable cancer in the USA
The Lancet, Volume 375, Issue 9727, Page 1665, 15 May 2010
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2810%2960718-0/fulltext?&elsca1=TL-150510&elsca2=email&elsca3=segment
米国ではがんは死因の第2位で毎年新たにがんと診断される人は150万人、死亡は56万人である。がんによる死亡の最大の原因は相変わらず煙草で、ここ数十年喫煙率が低下しているにも関わらず米国のがんによる死亡の1/3が煙草による。FDAが新たに煙草規制を導入するなど対策は進んでいるが、米国はまだWHOの煙草規制枠組み条約に署名していない。
環境中や職業暴露による化学物質が原因のがんは米国全体のがんの6%(年に34000)と推定されている。そのうち最も大きいのはラドンと考えられている。
5月6日に発表された大統領のがん委員会による報告書は大統領と連邦政府に対し環境化学物質対策を強化するよう求めている。この委員会は1971年の全国がん対策法に基づき設立されたもので、委員は大統領が直接任命する。この報告書は環境団体や学術団体等からの証言を根拠にアメリカ人は発がん性のある環境化学物質に大量に晒されていると結論した。この報告書は直ちに論争を引き起こし米国がん協会はこの報告書をバランスを欠くものとした。
オバマ政権は、確実に大きな負荷となっている原因の代わりに小さな可能性用に、がん予防のための資源を振り替えるべきではない。がん予防はNCIの最優先事項であり続けるべきで、連邦政府は環境関連法の整備を行い、低用量複数化合物の健康影響については研究を促進すべきである。一方市民は健康的なライフスタイルと自分たちの環境を守るために積極的に行動すべきである。
(あるか無きかのリスク対策に資源を浪費して、現実に大きな影響がある煙草などの対策をおろそかにすべきではない・・というのは日本でこそもっと言われるべき)