食品安全情報blog過去記事

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FDAは食品の安全性についてリスクに基づいた対策を採用すべきである

FDA Should Adopt Risk-Based Approach to Food Safety
June 8, 2010
http://www.nationalacademies.org/morenews/20100608a.html
食品の安全性問題になり得る課題により積極的に取り組むために、FDAは食品の生産から流通・取り扱いチェーンの中で最も汚染などの問題がおこる可能性の高いポイントに絞ってデータを取ったり専門家を配置したりするリスクに基づいた対策を採用すべきである、とIOMとNRCの新しい報告書では述べている。
プレスリリース
http://www8.nationalacademies.org/onpinews/newsitem.aspx?RecordID=12892
要約
食品の安全性を強化する FDAの役割
Enhancing Food Safety The Role of the Food and Drug Administration
http://www.iom.edu/~/media/Files/Report%20Files/2010/Enhancing-Food-Safety-The-Role-of-the-Food-and-Drug-Administration/Enhancing%20Food%20Safety%202010%20Report%20Brief.ashx
複雑さを増す世界の中で、食品由来疾患のリスクは高まっている。米国では毎年約7600万件の食品由来疾患が発生し30万人以上が入院し5000人が死亡している。食品由来疾患は大腸菌サルモネラなどの各種細菌や残留化学物質によって引き起こされる。これらの疾患の重症度と頻度の高さは現行の食品安全システムが公衆衛生を効果的に守っているのかどうかを評価する必要があることを示す。安全な食品の供給には多くの関係者の協力が必要である。米国では食品の安全に関与する機関はいくつかあるが、FDAが約80%の食品を監視している。食品安全の専門家や一般の人々はFDAの食品安全システムを、アメリカ人を適切に食品由来疾患から守っているのかどうか批判していた。そのため議会はIOMにFDAの食品安全システムの欠点と改善点の評価を依頼した。FDAは最近全ての食品政策を調整する食品オフィスを作ったが、FDAの食品安全への取り組みは未だに事後対応型で系統的予防システムに欠けている。IOMのこの報告書ではFDAには食品安全に関する包括的視点が欠けており、米国の食品安全のためにはそのアプローチ方法を変更すべきであるとしている。
リスクに基づいた食品安全対策のために
・戦略的計画立案
・公衆衛生上のリスクをランキングする(ハザード順位付け)
・目的をもった情報収集(サーベイランス)
・介入方法を分析・選択する
・介入計画をデザインする
・モニタリングして評価する
リスクに基づいた食品安全システムを実行するために
リスク管理やリスク分析の専門家の訓練や雇用が必要。意志決定のためのデータの使用や収集の専門家が足りない。
食品安全プログラムと一般の人々の教育を統合する
州や地方当局との対応の重複などがないよう全体を総合的に管理する。
リスクコミュニケーションと安全性に関する教育は重要である
監視を効率化する
規制の現代化と食品安全システムの再構築

報告書全文
http://www.nap.edu/catalog.php?record_id=12892