食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

EurekAlert(http://www.eurekalert.org)より

  • お茶はこれまで考えられていたよりフッ素を多く含む

Tea contains more fluoride than once thought
14-Jul-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-07/mcog-tcm071410.php
多くの論文では紅茶1Lあたり1-5mgのフッ素と報告されているが、新しい研究では9mg程度まで高くなった。フッ素は虫歯予防に役立つことが知られているが大量を長期間摂取すると骨の問題を誘発する。普通の人はフッ素添加飲料水、練り歯磨き、食品などから1日平均2-3mgを摂取している。骨の健康に影響するのは1日約20mgを10年以上摂取した場合である。Dr. Gary Whitfordは米国では極めて珍しい骨フッ素症患者4人のデータを調べていてこの4人が毎日大量に長期間お茶を飲んでいたという共通点からお茶を調べた。伝統的方法で調べると濃度は低く、それが原因で骨フッ素症を発症するとは思えなかったことから、お茶に大量に含まれるアルミニウムと結合した不溶性フッ化アルミニウムを溶解させてから測定した。その結果1.4-3.3倍の量のフッ素が検出された。
普通の量のお茶を飲むことには問題はない。
International Association for Dental Research学会の発表。

  • ミネソタ大学の研究でファストフードチェーンの調理油のトランス脂肪は相当減ったことがわかった

U of M study finds fast food chains have significantly decreased trans fats in cooking oils
14-Jul-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-07/uom-uom071410.php
主要ファストフードチェーンは公衆衛生上の懸念に対応している。
McDonald's、 Burger King、Wendy's、Jack in the Boxおよび Dairy Queenのフライドポテトのトランス脂肪と飽和脂肪濃度を調査した。McDonald's、 Burger King、Wendy'sのフライドポテトは1997年から2008年の間に飽和脂肪を一定または下げた上でトランス脂肪を相当減らした。残り二つについては研究対象期間ではトランス脂肪の低下はなかったが2008年以降の栄養情報ではトランス脂肪も飽和脂肪も低下している。
全国栄養データベース学会で発表された。
(トランス脂肪問題も対策としては終わりに近づいてきた感じ。あとは効果がどれだけ出るかを観察。日本?なにやってんだか。)

  • 広く利用可能な「拡張血液型判定」法作成に向けて

Toward making 'extended blood group typing' more widely available
14-Jul-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-07/acs-tm071410.php
ドナーと受容者の適合性を上げてより安全な輸血ができるように、いわゆる「拡張血液型判定」にむけた進歩が報告された。これまで知られているヒトの血液型は29グループであるが、現在使用されているのはそのうちわずかで、DNA診断には費用がかかりすぎる。より使いやすい方法としてハイスピード自動DNA検査により血液型を判定するHiFi Blood 96について市販の検査法と比較した。
Robust, High-Throughput Solution for Blood Group Genotyping
http://pubs.acs.org/stoken/presspac/presspac/full/10.1021/ac101008d
(こういうのが普通になれば血液型性格診断みたいな嘘話は廃れていくんだろうな。だって話の種にするには複雑すぎて覚えていられないでしょう?)

  • 牛乳は赤ちゃんによい

Cow's milk does a baby good
14-Jul-2010
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-07/afot-cmd071410.php
テルアビブ大学の研究者は牛乳由来タンパク質への早期暴露はその後人生での牛乳アレルギーへの耐性を増加させる
Journal of Allergy and Clinical Immunologyに発表されたYitzhak Katz教授の研究によれば、13019人の乳児の前向き研究から、生後15日以内に乳児用ミルクの形態で牛乳タンパク質に暴露された子どもは乳タンパク質アレルギーにならない。
Katz教授によればWHOの推奨している3-5ヶ月まで母乳のみで育ててこの時期に牛乳タンパク質を導入するのは最悪のタイミングで、生後すぐ与えないのであれば1年以上経ってから与えるべきだとしている。また牛乳アレルギーの頻度は他の文献による2-4%より少なく、0.5%だった。

  • ヒト消化管のウイルスワンダーランド

ScienceNOW
Viral Wonderland in the Human Gut
July 14, 2010
http://news.sciencemag.org/sciencenow/2010/07/a-viral-wonderland-in-the-human-.html?etoc
19世紀後半から微生物学者はヒトの腸は微生物の宝庫であることを知っていた。しかしウイルスについてはあまり知られていなかった。Natureの7月15日号に発表された論文では一卵性双生児の女性とその母親4組の便のウイルスメタゲノム(virome)を1年の間に3回集めて解析したところ既存のデータベースに存在したのはたった20%であった。そして個人のviromeは特有のもので1卵生双生児でも他人と同程度の類似性しかなく、1年間でほとんど変化しなかった。
Nature 466, 334-338 (15 July 2010)