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魚介類のマリンバイオトキシンに関する科学的意見−新興毒素:ブレベトキシングループ

Scientific Opinion on marine biotoxins in shellfish – Emerging toxins: Brevetoxin group
26 July 2010
http://www.efsa.europa.eu/en/scdocs/scdoc/1677.htm
ブレベトキシンBTX)グループ毒素は主に渦鞭毛藻Karenia brevisが作る脂溶性環状エーテル化合物で、骨格からAとBの二つのタイプに分けられる。多数の毒素が同定されているがKarenia brevisに最も多いのはBTX-2 (type B)であると報告されている。BTX-1 (type A) と BTX-2は他の毒素の親化合物と考えられている。魚介類はBTXグループ毒素を代謝し、いくつかの代謝物が知られている。消費者が魚介類から主に暴露されるのは親毒素ではなく代謝物の方である。
BTXグループ毒素は神経毒性貝毒で、症状は吐き気、嘔吐、下痢、感覚異常、痙攣、気管支収縮、麻痺、発作、昏睡である。汚染魚介類を摂取後30分から3時間以内に発症し数日続く。永続する症状や死亡の報告はない。皮膚暴露や吸入暴露では刺激性がある。分布はメキシコ湾、米国東海岸ニュージーランドハウラキ湾に限られる。
ヨーロッパではこれまで毒素の報告はないが、毒素産生藻類の発見と藻類大発生地域の拡大からヨーロッパでも起こる可能性はある。現在ヨーロッパに魚介類のBTXグループ毒素の規制値はない。
BTXグループ毒素の毒性データは限られていて急性毒性のデータしかない。BTXグループ毒素は細胞膜の電位依存性ナトリウムチャンネルに結合し、神経や筋細胞膜の脱分極を誘発する。
In vitroでは染色体異常誘発活性を示唆するデータがある。長期的暴露による発がん性の懸念がある。
長期試験がないためTDIは設定できない。ARfDの設定が望ましいが、データがないため経口ARfDが設定できない。ヨーロッパでの検出データが無くリスクについては意見できない。