食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 海洋性オメガ3脂肪酸の心血管系影響

Cardiovascular effects of marine omega-3 fatty acids
The Lancet, Volume 376, Issue 9740, Pages 540 - 550, 14 August 2010
エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の心血管系疾患への影響についてのレビュー。
有効だという根拠はあるが必要な用量や効果があることがわかっている治療法と比べた場合の有用性、食事由来のものとサプリメントで摂った場合の違いなど不確実な部分がある。さらに最近は一部の心血管疾患患者に対して不整脈誘発作用があるかもしれないことがわかってきた。

  • リモナバンの心血管系イベント予防作用:無作為マルチセンタープラセボ対象試験

Rimonabant for prevention of cardiovascular events (CRESCENDO): a randomised, multicentre, placebo-controlled trial
The Lancet, Volume 376, Issue 9740, Pages 517 - 523, 14 August 2010
リモナバンが市場から姿を消すきっかけとなった試験。リモナバン投与群の自殺について懸念が生じたために途中で打ちきりとなった。打ち切られた時点で心血管系イベントに差はなく、副作用はリモナバン群で多いという結果。

リモナバン:ワンダードラッグの死亡記事
Rimonabant: obituary for a wonder drug
The Lancet, Volume 376, Issue 9740, Pages 489 - 490, 14 August 2010
肥満による心血管系への悪影響を削減するには食べる量を減らして運動することが有効であるのはよくわかっている。しかし体重を減らす薬物が熱望されている。リモナバンの事例は一つの教訓である。

Emergence of a new antibiotic resistance mechanism in India, Pakistan, and the UK: a molecular, biological, and epidemiological study
The Lancet Infectious Diseases, Early Online Publication, 11 August 2010
http://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099%2810%2970143-2/fulltext?elsca1=TL-140810&elsca2=email&elsca3=segment
メディカルツーリズムによりインドやパキスタンから英国に拡散したことを示唆。
(予防接種もろくにできない日本で、メディカルツーリズムで金儲けを、と主張しているのは浅はかだと思うんだけど。)

  • ニッケルアレルギーの追跡は単一受容体を同定

Nature ニュース
Nickel allergy tracked to a single receptor
Published online 15 August 2010 | Nature | doi:10.1038/news.2010.407
http://www.nature.com/news/2010/100815/full/news.2010.407.html
分子経路の解明はなぜニッケルアレルギーがヒトでおこってマウスでは見られないのかを明らかにする
Toll-like receptor 4 (TLR4)の活性化が炎症促進シグナルを産む。マウスTLR4はヒトと一部アミノ酸が異なりニッケルと結合しない。
Nature Immunologyに発表された。